2004 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経損傷後の神経再生と外傷性痴呆のメカニズム解明
Project/Area Number |
16791099
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
伊関 憲 山形大学, 医学部, 助手 (70332921)
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Keywords | 反応性アストロサイト / プリオテオグリカン / 神経伸長因子 / 血管脳関門 |
Research Abstract |
ヘパラン硫酸プロテオグリカンの一種であるagrinは胎生期の中枢神経系や成体の神経節接合部に発現する。これまで我々はヘパラン硫酸プロテオグリカンのsyndecan familyやglypican-1が脳損傷部位に発現することを報告した。今回、我々は凍結脳損傷モデルにおいてagrinが発現するか否かをin situ hybridization、免疫染色を用いて検討した。 agrin mRNAは脳損傷後4日目より脳損傷部位近傍に発現した。7日目をピークに壊死組織の周囲に強く発現し、14日目にはほぼ消失するのを観察した。そこで同様にagrinの免疫組織染色を行ったところ、reactive astrocytesに発現していることや損傷部周囲の血管に発現していることを認めた。Agrinの発現を詳細に検討するための免疫電顕を行った。血管周囲ではreactive astrocyteの足突起が集まり、脳血管関門を形成する。Agrinはこの部分のうちbasal laminaに強く発現していた。このことからreactive astrocytesにより産生され脳血管関門修復に働いている可能性が示唆された。また、agrinは成長因子であるFGF2やHBGAMの結合ドメインをもつことから、これらの分子との関係をin situ hubridizationの二重染色を用いて比較検討した。するとagrinはFGF2やHBGAMと時間的,空間的に共存していることが判明した。agrinは胎生期の中枢神経系において神経軸策誘導に働いている。このため、agrinはFGF2やHBGAMなどの神経伸長因子と結合し、神経伸長に働くものと考えられている。さらに、agrinはアルツハイマー病脳で血管に強く発現することから外傷性痴呆にも関わっている可能性が示唆される。
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