2004 Fiscal Year Annual Research Report
Microdialysis法を用いた劇症肝不全における肝性脳症の病態解明
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16791100
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
仲村 将高 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (30315436)
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Keywords | 劇症肝不全 / 肝性昏睡 / microdialysis / 頭蓋内圧monitoring / cytokine / アンモニア / 脳内アミノ酸解析 / high flow dialysate CHDF |
Research Abstract |
劇症肝不全(FHF)における肝性脳症の病態を解明する為に,microdialysis法,頭蓋内圧monitoring,アンモニア血中濃度,血中アミノ酸解析,サイトカイン血中濃度等を測定し検討した.さらに我々が臨床応用している高流量の透析液を用いたhigh flow dialysaste CHDF(HFCHDF)の肝性脳症に対する効果の機序について,これらの解析法を用いて検討した.FHF症例では,1)アンモニア血中濃度が高く,昏睡度との間に有意な相関が存在すること,2)IV度以上の昏睡症例の中には頭蓋内圧が異常に亢進し,この頭蓋内圧がコントロールできない症例では脳ヘルニアに至り死亡すること,3)頭蓋内圧とinterleukin-6血中濃度に正の相関があること,等が判明した.また,FHFに対しHFCHDFを施行した症例では,1)アンモニア血中濃度が有意に低下したこと,2)昏睡度が改善し,意識覚醒率は非施行群に比較し有意に高いこと等が判明した.研究は継続進行中であるが,現時点での結論として,1)肝性昏睡の機序に高アンモニア血症,高サイトカイン血症が関与していること,2)HFCHDFは肝性昏睡物質の除去に有効であること,が挙げられる.このアンモニア,サイトカイン等が脳内でどのような動態で脳症に関与しているのかが今後の課題である.一方,microdialysis法は国内での取扱業者の変更等により,測定システムの立ち上げに時間を要したが,ようやく本研究における測定システムが確立した.このmicrodialysis法を用い,脳内アミノ酸,アンモニア,乳酸等の動態と既に検討したアンモニア血中濃度,サイトカイン血中濃渡,頭蓋内圧等の関係を調査することによって,肝性昏睡の機序につきさらに検討する方針である.
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