2005 Fiscal Year Annual Research Report
Microdialysis法を用いた劇症肝不全における肝性脳症の病態解明
Project/Area Number |
16791100
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
仲村 将高 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (30315436)
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Keywords | 劇症肝不 / 肝性昏睡 / 持続的血液濾過透析(CHDF) |
Research Abstract |
劇症肝不全における肝性脳症の病態を解明する為に,本研究を施行している.昨年度に引き続き本年度も,当施設で経験した劇症肝炎を対象に,血中アンモニア測定,アミノ酸解析結果と頭蓋内圧,肝性昏睡度との関係を検討した.その結果,血中アンモニア値と肝性昏睡度,頭蓋内圧との間に相関関係を認めた.さらに肝性昏睡II度の発症から24時間以内にIV度に達したいわゆるhyperacute typeの経過をとる劇症肝炎を2例経験し,これらに対し肝性昏睡物質の持続除去を強化する為に,high flow dialysate CHDF(HFCHDF)を施行した.これらの2例では,通常のHFCHDFでは肝性昏睡を制御することができなかった.血中アンモニア値も徐々に低下したものの,正常化するには程遠く,結果として通常のHFCHDFではアンモニアを中心とする肝性昏睡起因物質の除去が不十分であった.そこで,HFCHDFを2機,並行して同一症例に使用するなど,HFCHDFの血液浄化量を増加させることを試みた.その結果,血中アンモニア値および肝性昏睡状態が改善することができた.1例では亢進していた頭蓋内圧も制御することが可能であった.我々がこれまで経験した劇症肝炎ではHFCHDFにより肝性昏睡を制御することが可能であった.しかしながら今回経験したhyperacute typeの経過をとった2例については,通常条件下のHFCHDFでは肝性昏睡起因物質の除去が不十分であると考えられた.残念ながら本2例ではmicrodialysisカテーテルを挿入するに至る同意は近親者から得られず,脳内代謝産物動態について検討することはできなかったが,今後も引き続き症例を重ねることにより,劇症肝不全の肝性脳症の病態解明を行う方針である。
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