2004 Fiscal Year Annual Research Report
「AED使用を必須とした心肺蘇生法」の地域住民への普及による心臓性心停止例の救命
Project/Area Number |
16791101
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
菊地 研 岩手医科大学, 医学部, 助手 (10305998)
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Keywords | 一般市民が行う除細動 / 心配蘇生法普及事業 / Basic Life Support / ウツタイン様式 / 除細動シミュレーション / American Heart Association / 県民運動 |
Research Abstract |
多数例の救命には「一般市民が行う除細動」が不可欠である。このため、2004年に岩手県心肺蘇生法普及事業推進会議で、これまでの「県民運動としての心肺蘇生法普及事業」に引き続き、県民へ「AED使用を必須とした心肺蘇生法」を普及させることを決定した。開始初年度として、岩手県内の全救急救命士約200名を対象にして、「AED指導者養成講習会」を行った。これを受講した救急救命士が同僚である救急隊や消防隊員を指導して、一般市民へ普及していくインストラクターを養成する目的であった。一般市民の誰もができるように、AED使用心肺蘇生法は出来るだけ簡略化させた。インストラクターへは成人への教育を配慮しつつ、教え方の手順もできるだけ統一させ、実技練習時間を多くとるように指導した。実技練習は、従来の心肺蘇生法に加え、除細動練習用マネキン1体と練習用AEDを用いての除細動シミュレーションを行うことにして、出来るだけ日本で認可されている全AEDを用いることをすすめた。このほかに、AED先進国であるアメリカで最も普及しているアメリカ心臓協会(American Heart Association)が主催しているトレーニングコースを開始した。Basic Life Support (BLS)は医療従事者を対象にしたもので、2004年度には医療従事者400名が受講した。来年度は、岩手県心配蘇生法普及事業推進会議では、警察官を対象に普及を行う予定である。このほか、これまでの県民運動の普及に協力していただいた、日赤の普及員、保健婦、自動車学校の心肺蘇生法教育担当官、学校の体育教師、養護教諭等を来年度のインストラクター養成コースを行い、地域住民を対象として年間4万人程度の受講者数へと発展させていきたい。岩手県内で発生したすべての院外心停止例をウツタイン様式で登録して、岩手県内での院外心停止の実態、救命率を明らかにし、今後、岩手県をモデルケースとして有効な救急システムを全国へ展開して構築したい。 研究を遂行する上での具体的な工夫について 岩手県はすでに「県民運動としての心肺蘇生法普及事業」を行なってきて、これほどまでに普及を推進している県はない。また、県と医師会、警察・消防、日赤、商工会議所、教育委員会などの代表者で構成される心肺蘇生法普及事業推進会議が設置されている。今回の研究はこの組織と実績を背景に、地域住民へ「AED使用心肺蘇生法」を普及させていくことが可能で、他の地域に比べ有意に短期間で低コストでの普及が見込める。
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