2004 Fiscal Year Annual Research Report
骨代謝調節のメカニズムへの性ホルモンとその標的因子の役割に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
16791107
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
樋山 伸二 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (60314754)
|
Keywords | 骨代謝 / エストロゲン / 骨髄骨 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / 骨リモデリング |
Research Abstract |
骨代謝におけるエストロゲンの役割を明らかにするため、まず鳥類の骨髄骨を用いて次の実験を行った。 1.成熟雄ウズラの大腿骨の骨髄細胞が骨形成能を有するか、培養を行い検討した。その結果、骨髄細胞中に線維芽細胞様細胞が出現しコロニーを形成した。これらの細胞は骨芽細胞の指標酵素であるアルカリホスファターゼ活性を有していた。しかしながら、これらの細胞周囲に単核あるいは多核の細胞が集積し、増殖および基質形成を阻害する結果となった。また、単核あるいは多核の細胞の中に酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ活性を有する細胞が認められ、破骨細胞様細胞であることが示唆された。 2.成熟雄ウズラの大腿骨の骨内膜細胞をoutgrowthにより増殖させ、これらの細胞が骨形成能を有するか、培養を行い検討した。その結果、これらの細胞はコロニーを形成し、アルカリホスファターゼ活性を有する骨形成系細胞になった。さらに培養を続けた結果、骨基質が形成されたことから、エストロゲンの作用を検討する上で有益な培養モデルであると推察された。 3.成熟雄ウズラへのエストロゲン投与による骨髄骨の形成および吸収過程において、骨芽細胞の分化マーカー遺伝子およびエストロゲンレセプター遺伝子の発現パターンを明らかにした。また、この過程で骨髄骨周辺の骨髄細胞の変移が認められたことから、これらの細胞もエストロゲンに反応し、骨髄骨リモデリングに関与しているごとが示唆された。 以上の結果から、2.のin vitroモデルを用い、骨髄骨の骨形成細胞におけるエストロゲン応答遺伝子(ERG)およびタンパク質(ERP)の同定を行う。次に、1.で見られた破骨細胞様細胞におけるERGおよびERPの役割を検討する。さらに3.のin vivoモデルを用い、骨髄骨のリモデリングにおけるERGおよびERPの機能を明らかにし、エストロゲンの役割を解明する。また、哺乳動物の骨代謝におけるERGおよびERPの機能とエストロゲンの役割について検討する。
|