2005 Fiscal Year Annual Research Report
FGF10ノックアウトマウスを用いた唾液腺組織再生の試み
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16791108
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
表原 文江 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (50337359)
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Keywords | 唾液腺 / ブランチング / FGF10 |
Research Abstract |
本研究では野生型およびFGF10ノックアウトマウスを用いて顎下腺形成におけるFGF10の関与につき検討を行った。各マウスより経時的に摘出した顎下腺の組織学的検討を行ったところ、ノックアウトマウス唾液腺では野生型と同様胎生12日に口腔上皮の陥入が観察されるが、その後のブランチングが進まず臓器形成不全に陥ることが示された。野生型マウス顎下腺におけるFGF10 mRNA発現を定量性RT-PCR法にて検索すると胎生14日で発現量が最も高く、その後経時的に減少傾向を認めた。whole mount in situ hybridizationにて発現部位を検討すると、顎下腺間質部分において発現がみられ、その発現時期は定量性RT-PCRの結果と一致した。発現細胞特定のため組織切片を用いたin situ hybridizationを行ったところ、FGF10 mRNAは顎下腺間質に存在する線維芽細胞で強く発現していた。また、FGF10の受容体であるFGFR2IIIb mRNA発現は野生型では胎生14日より腺房細胞や導管細胞にみられ、さらに胎生16日以降になると発現部位は限局していきブランチングを起こしている腺房細胞先端部にて強い発現が観察された。また、免疫組織化学染色による検討ではFGFR2IIIb蛋白は胎生16および18日の腺房上皮細胞表面にて検出された。顎下腺に対するFGF10の作用を解析するため、胎生14日の野生型マウスより得た顎下腺組織培養系にFGF10を添加し3日間培養を行った後、組織学的検討を行った。FGF10添加群では対照群に比して導管の伸長やブランチング促進が観察され、この作用はFGF10中和抗体添加により抑制された。以上の結果よりFGF10が唾液腺組織形成におけるブランチング過程に必須の因子である可能性が示された。
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