2004 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質脱リン酸化反応によるアポトーシス誘導機序の調節
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16791110
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
森本 景之 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (30335806)
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Keywords | PKR / 骨芽細胞 / PKR変異 / オカダ酸 / 蛋白質リン酸化 / アポトーシス |
Research Abstract |
蛋白質脱リン酸化酵素(PP1)阻害剤であるオカダ酸で細胞を処理するとPKR/eIF2α経路が活性化し、アポトーシスが誘導される。今回の目的は蛋白質脱リン酸化酵素PP1を調節し、PKR/eIF2α経路を介したアポトーシスをコントロールすることである。この目的を達成するためにはPKR/eIF2α経路とアポトーシスの関係を解明する必要がある。 1.PP1をオカダ酸により阻害するとNF-kB, EGR-1転写活性が上昇すること、Fas, FasL, PTENが発現すること、PKR-eIF2α経路が活性化され蛋白質新合成が停止すること、さらに最終的にアポトーシスが生じることを明らかとした。これらの結果の一部はOral Oncol誌J Cell Biochem誌およびJ Biochem誌に発表した。残りの結果については現在論文投稿中である。 2.培養細胞に二本鎖RNAを導入し、RNAiを生じさせPP1δの発現を抑制した。その際に他のPP1アイソフォームの発現に影響を与えないことを明らかとした。これら結果の一部はJ Enzyme Inhib Med Chem誌に発表した。またPP1δの役割やPP1とアポトーシスの関係についてJ Oral Biosci誌にReviewを発表した。 3.PKR変異骨芽細胞を樹立した。変異細胞と正常細胞ではNF-kB活性化機序が異なること、石灰化能等の骨芽細胞としての性質に違いが生じること、細菌抽出物によるアポトーシス誘導が異なることを明らかとした。これら結果の一部については現在論文投稿中(Revise中)および準備中である。 以上に示すように、現在までにPKR-eIF2α経路とアポトーシスとの相互関係を明らかとし、PP1阻害剤の作用点についても明らかとする結果を得ている。また、PKR変異細胞においてアポトーシスの違いが生じており、蛋白質リン酸化を介したアポトーシス調節の可能性が示された。
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