2005 Fiscal Year Annual Research Report
bHLH型転写制御因子による味蕾の各細胞型への分化制御機構の解明
Project/Area Number |
16791111
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
瀬田 祐司 九州歯科大学, 歯学部, 助教授 (90291616)
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Keywords | bHLH型転写制御因子 / Mash1 / 味蕾 / Hes6 / Delta1 / Notch signal系 |
Research Abstract |
我々は、マウスの胎生期の有郭乳頭におけるNotch signal系遺伝子群の発現をin situ Hybridizationを用いて検索した。また有郭乳頭味蕾において、味蕾の各細胞型の分化決定におけるNotch signal系の関与を検討するために、味細胞のマーカー(gustducin, PLCβ2, NCAM, serotonin, PGP9.5)とNotch signal系遺伝子(Delta1, Hes6, Notch3, Mash1)との2重染色を行った。さらに、培養舌上皮にMash1を強制発現させて、培養舌上皮細胞の分化形質発現の変化を検索した。 有郭乳頭形成の初期において、多くのNotch signal系遺伝子群は有郭乳頭を含む舌上皮と間葉組織に広く発現が認められたが、形成の後期ではNotch2を除くNotch signal系遺伝子群の発現が有郭乳頭の溝上皮と背部上皮の一部の細胞に収束していたのが認められた。成体の味蕾では、NotchのリガンドであるDelta1と下流の転写制御因子(Hes6, Mash1)は味覚受容細胞のマーカー(gustducin,PLCβ2,NCAM,serotonin,PGP9.5)との局在が一致していた。その中で、Msah1は3型細胞のマーカーと局在が一致し、Hes6とDelta1は2型細胞のマーカーと一致していた。一方、Notchレセプターは味覚受容細胞のマーカーとは局在が一致していなかった。 さらに培養舌上皮細胞にMash1を強制発現させると、味蕾の3型細胞のマーカーであるPGP9.5,NCAMの発現がMash1を発現させた細胞で観察された。また、培養舌上皮細胞にHes6を強制発現させると、2型細胞のマーカーのgustducinの発現が認められた。 これらの結果から、bHLH型転写制御因子は、成体において味蕾内での各細胞型への分化決定に関与していることが示唆された。
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Research Products
(5 results)