2004 Fiscal Year Annual Research Report
マウス顎関節細胞原基の発生と形態形成に関わる分子制御機構の解明
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16791117
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
柬理 頼亮 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (40366761)
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Keywords | 胎生期マウス / 顎関節 / 下顎頭軟骨 / 細胞原基 / アルカリフォスファターゼ / 組織立体構築 / 顕微切断法 / 器官培養 |
Research Abstract |
顎関節の初期発生では、下顎頭と関節窩は独立した細胞原基に由来して、細胞凝集、基質産生、軟骨細胞層の成立、滑膜と円板構造との分離を経て形態形成が完了する。本年度においては、マウス胎仔の組織観察から、下顎頭/下顎骨体の細胞原基はメッケル軟骨形成(胎生12.5日)に続いて組織学的に識別できるようになり、側頭骨下顎窩の細胞原基の発生は胎生15.5日前後に遅れて発生することを確かめた。さらに、マウス胎仔頭部の連続薄切標本に基づく立体組織構築法を確立した。使用した画像解析ソフト(RATOC-SRF2)では、濃淡2値化に加えて、染色画像のRGB色調に基づく組織要素の解析が可能である。この特色を生かして、胎仔個体から作成した1組の連続切片にビクトリア青・ヘマトキシリン・エオジン染色(顎顔面の輪郭と軟骨基質の抽出)と細胞原基の識別のためのALP活性の酵素組織化学を交互に施すことにより、組織輪郭と標的とする細胞原基の位置決めが容易となることを確かめた。顎関節細胞原基の由来と細胞分化の道筋に働く分子制御ネットワークを明らかにする目的で、標的遺伝子65種類のRT-PCRおよびリアルタイムPCRのプローブ設計を行い、microdissection法により特定の細胞集団を分離、mRNA抽出を継続している。これまでの下顎頭周囲の細胞集団において、軟骨細胞マーカとなるSox9、骨関連細胞系譜のRunx2とosterix、筋細胞系譜のPax3とMyoDの発現を確かめており、細胞凝集の阻害による下顎頭原基の無形成を表現型とするendothelin-1(-/-)では関連遺伝子の発現パターンに相違を認めている。これらのin vivoでの検討とともに、胎生10日で採取した鰓弓および下顎頭細胞原基の発生直前の顎関節予定領域を含む組織試料のTrowell器官培養を開始している。
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