2005 Fiscal Year Annual Research Report
歯根膜の発生と再生過程におけるマラッセの上皮遺残の動態
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16791120
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
田所 治 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (20319106)
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Keywords | ラット歯根膜 / マラッセの上皮遺残 / 抗原提示細胞 / 歯の移動 / 歯根膜の再生 / 免疫組織細胞化学染色 / 超微細構造 |
Research Abstract |
・歯根膜の発生と再生過程におけるマラッセの上皮遺残の動態 本年度の到達目標 ・ラット歯根膜のマラッセの上皮遺残に対する特異抗体の同定を免疫組織細胞化学的に行い、マラッセの上皮遺残の分布を明確にする。 ・ラット歯根膜の再生過程におけるマラッセの上皮遺残と、歯根膜抗原提示細胞の関係を明らかにする。 1.ラット(生後6週令、計16匹)を1グループ4匹、計4グループに分けた。全てのラットの右側上顎第一臼歯と、上顎切歯にワイヤーを装着させた。そして、右側上顎第一臼歯を、24時間(;group A)・72時間(;group B)・7日間(;group C)・14日間(;group D)近心移動させた。なお、ワイヤー未装着のラットも対照群として準備した。 2.対称群のラットと、ワイヤー装着群のラットを順次屠殺し、左心室から潅流固定を行った。 3.対照群のラットの右側上顎第一臼歯部と、ワイヤー装着部を含んだラットの右側上顎第一臼歯部を摘出した。その後、脱灰を施して、凍結切片を厚さ20μmにて作製した。 4.昨年度から引き続いて本年度12月末までに、ラットのマラッセの上皮遺残に対する特異抗体と、最適な濃度を検索した結果、マラッセの上皮遺残に対する特異抗体(cytokeratin)と最適な抗体濃度(15,000倍)が免疫組織細胞化学染色によって明らかとなり、安定した実験結果が得られるようになった。 5.昨年度で、すでに同定済みの歯根膜抗原提示細胞の特異抗体(RT1B、至適濃度20,000倍)と、今年度に明らかになったマラッセの上皮遺残の特異抗体(cytokeratin)を組み合わせた免疫組織細胞化学二重染色を試みた。 6.電子顕微鏡にて、ワイヤー装着群と対照群のラット歯根膜のマラッセの上皮遺残と、歯根膜抗原提示細胞の関係に注目して観察を行った。(現在も進行中) ・本年度の研究の取りまとめ 本年度の研究では、対照群のラット歯根膜のマラッセの上皮遺残に対する特異抗体と、上皮遺残の分布が明らかになった。また、電子顕微鏡による観察で、cytokeratin免疫陽性を示したマラッセの上皮遺残と、RT1B免疫陽性を示した歯根膜抗原提示細胞が、常に接していることを明らかにすることが出来た。この観察結果は、健常歯根膜におけるマラッセの上皮遺残の新たな機能を示唆するものである。本成果を取りまとめ、次年度に発表する予定である。本年度の研究では、歯根膜再生過程におけるマラッセの上皮遺残と、抗原提示細胞の関わりを明らかにする上で、基礎となる研究結果を得ることが出来た。
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