2004 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌の骨転移におけるシクロオキシゲナーゼ‐2の関与
Project/Area Number |
16791123
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平賀 徹 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (70322170)
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Keywords | 乳癌 / 骨転移 / シクロオキシゲナーゼ-2 |
Research Abstract |
乳癌細胞におけるシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の発現と骨転移との関連を解明することを目的として、本年度は主として以下の検討を行った。 1.ヒト骨転移癌細胞におけるCOX-2の発現 ヒト骨転移症例の病理組織標本を用い、COX-2の発現を免疫組織化学的に検討した結果、全症例の86.7%でCOX-2の発現が認められ、COX-2発現と骨転移形成の関連が示唆された。 2.骨転移乳癌細胞におけるCOX-2の発現制御メカニズムの解析 ヒト乳癌細胞を用いた骨転移動物モデルによる検討で、骨転移巣におけるCOX-2の発現誘導が、骨に近接した部位で特に強く認められることが示された。さらに、その発現が強力な骨吸収抑制作用を有するbisphosphonateの投与により減弱することなどの所見から、骨転移乳癌細胞におけるCOX-2発現と骨吸収との関連が示唆された。そこで、骨基質含有増殖因子のCOX-2発現に対する作用を検討したところ、TGFβのみがCOX-2発現を誘導することが示された。これらの結果から、骨基質由来TGFβが骨転移乳癌細胞におけるCOX-2発現に重要な役割を果たすことが示唆された。 3.乳癌細胞のCOX-2発現の破骨細胞形成に対する関与 マウス骨髄培養系において、乳癌細胞のTGFβ刺激により得られた培養上清、及びCOX-2の代謝産物であるプロスラグランジンE2がいずれも破骨細胞形成を促進したことから、COX-2発現が骨転移の形成・進展に重要な役割を果たす破骨細胞性骨破壊の促進に関与していることが示唆された。 4.乳癌細胞におけるCOX-2発現と悪性度との関連 選択的COX-2阻害薬が乳癌細胞の増殖を抑制し、アポトーシスを亢進したことからCOX-2発現が乳癌の悪性度と関連することが示唆された。 次年度は、今回得られた所見について、in vivoでの検証をさらに進めていく予定である。
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Research Products
(6 results)