2004 Fiscal Year Annual Research Report
疼痛制御に関わるノルエピネフリントランスポーター発現調節機構の解明
Project/Area Number |
16791125
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
十川 千春 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (10253022)
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Keywords | トランスポーター / ノルエピネフリン / 疼痛 |
Research Abstract |
本研究は、疼痛に関わる下行性抑制性ノルエピネフリン(NE)神経系におけるNEトランスポーター(NET)機能発現調節機構め解明と、その疼痛制御への関与から導かれる新たな治療法の開発基盤を得ることを最終目標とし進めている。今年度は、NETの機能発現における調節機構を解明するため、ヒト、NETエキソン(E)14領域の24個のアミノ酸を3分割(N末端よりC1,C2,C3)し、一部または全てを欠失させたミュータントを異なるC末端領域をコードするhNET1とhNET2両バリアントそれぞれに対して作製した。それぞれの全アミノ酸列を含むcDNAをcos-7細胞に一過性に形質導入し、形質導入後、NE輸送活性を調べた結果、hNET1、2いずれも、E14領域すべてを欠失した場合、いずれか2つを欠失した場合、NE輸送活性は消失した。しかし、hNET1は一部を欠失した場合も、NE輸送活性が消失したのに対して、hNET2では、C3のみの欠損では野生型のhNET2と同程度の輸送活性を示した。また、これらのミュータントをcos-7へ形質導入後、細胞膜表面蛋白質をビオチン化し、細胞膜に発現しているhNETについて、抗hNET1/2抗体を用いてウエスタンブロット法にて検出した結果、膜、細胞質内、核内を含む細胞全抽出液において、hNET1、2いずれも約50kDのバンドとグリコシル化による約80kDのバンドが得られた。一方細胞膜画分ではhNETはほとんどグリコシル化されていることがわかった。それぞれのミュータントについては、NE取り込み活性が著しく低いミュータントはいずれも細胞膜画分におけるhNETタンパクの発現が認められなかった。以上の結果から、NET機能発現においてE14領域は重要な役割を担っており、また、両バリアントでは、E14領域によるNET機能発現の制御機構が異なる可能性が示唆された。
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