2004 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性骨吸収におけるToll-like receptorの生理的機能の解明
Project/Area Number |
16791132
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
高見 正道 昭和大学, 歯学部, 講師 (80307058)
|
Keywords | 破骨細胞 / Toll-like receptor / TRANCE |
Research Abstract |
骨組織では炎症がおこると破骨細胞が増加することによって骨吸収と骨形成のバランスが崩れ、骨量が減少する。炎症を誘発する因子の1つに菌体の構成成分であるLPSなどが知られており、これらはToll-like receptor(TLR)とよばれる受容体によって認識される。本研究の目的は骨代謝におけるTLRの生理的な役割を解明することである。我々は以前、TLRが破骨細胞とその前駆細胞に発現しており、それが破骨細胞の分化や生存を調節することを報告している。その後、平成16年にかけて、LPSが骨芽細胞に作用して間接的に破骨細胞の分化を誘導していることを明らかにした。LPSは骨芽細胞に発現するTLR4を介して炎症性因子であるProstaglandin E2(PGE2)の産生を誘導した。PGE2は骨芽細胞に作用して破骨細胞の分化抑制因子であるosteoprotegerin(OPG)の発現を抑制し、破骨細胞の分化を誘導した(論文発表済み)。平成16年から17年の研究実績として、LPSの破骨細胞分化に対する作用が分化ステージによって大きく異なることを発見した。LPSを破骨細胞の前駆細胞に処理すると破骨細胞分化は完全に抑制されたが、破骨細胞の分化誘導因子であるTRANCEで24時間刺激したあとLPSで処理しても分化は抑制されず、逆にLPSがTRANCEに代替して分化を促進した。解析の結果、TRANCEで24時間刺激した細胞はすでに破骨細胞への分化が運命付けられていることが明らかになった(投稿予定)。これは、生体内におけるLPSの破骨細胞に対する作用が極めて複雑に調節されていることを示唆する。現在、破骨細胞への運命付けとLPS作用との関係を分子レベルで解析している。また、TLR4遺伝子に異常を持つマウスを用いてin vivoにおけるLPSの作用を検討中である。
|