2005 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性骨吸収におけるToll-like receptorの生理的機能の解明
Project/Area Number |
16791132
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
高見 正道 昭和大学, 歯学部, 講師 (80307058)
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Keywords | 炎症 / Toll-like receptor / 骨破壊 / 破骨細胞 / 菌体 / 歯周病 / 軟骨破壊 / 樹状細胞 |
Research Abstract |
歯周病やリウマチの罹患部では炎症にともなって破骨細胞形成が誘導され、壊滅的な骨や軟骨の破壊がおこる。これにはToll-like receptor(TLR)とよばれる菌体やウイルスの構成成分を認識する受容体群が関与していることを我々は報告してきた。今回の研究期間における我々の研究実績として、(1)菌体がTLRを介して破骨細胞の分化を誘導し、実際に軟骨基質を分解することをin vitroの実験系において世界で初めて証明した(in press)、(2)TLRの細胞内シグナル伝達経路の下流に存在するTRAF6という因子は破骨細胞分化において必ずしも必須ではない(出版済)、(3)破骨細胞分化の過程においてTLRの生理的機能は大きく変化する(投稿中)、(4)破骨細胞と前駆細胞を共有する樹状細胞は種々のTLRを高いレベルで発現しており、in vivoにおける炎症性骨破壊に破骨細胞と協調して重要な役割を担っている(投稿準備中)、という新しい知見がある。また、これに関して(5)TLRによる破骨細胞の分化誘導に関与する可能性が高い細胞内シグナル伝達分子であるERKやp38 MAP kinaseをPhosphodiesterase阻害剤がcAMPを介して活性化することを発見した(出版済)、(6)我々は以前、TLRが破骨細胞の活性化を直接的に誘導することを報告したが、リベロマイシンと呼ばれる天然低分子化合物はこのような活性化した破骨細胞に選択的に作用し、アポトーシスを誘導することをin vivoおよびin vitroの実験系を用いて示した(投稿中)。以上の研究成果はTLRが炎症性骨破壊において破骨細胞や樹状細胞を介しながら細胞、分子、生体レベルで極めて重要な役割を担うことを示唆し、将来歯周病やリウマチなどにおける骨・軟骨破壊の治療法の開発に役立つと期待される。
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