2005 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞の骨吸収を制御するSNARE蛋白の役割の解明
Project/Area Number |
16791139
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
溝口 利英 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 助手 (90329475)
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Keywords | 破骨細胞 / SNARE / NFATc1 / M-CSF / RANKL / 骨髄マクロファージ / 細胞周期 / p38MAPK |
Research Abstract |
破骨細胞は骨組織を認識すると、蛋白分解酵素と酸を骨組織側(波状縁側)へと輸送し、さらに骨面へ分泌することにより骨吸収を行う。この蛋白質分泌はエキソサイトーシス機構により行われ、輸送小胞と細胞膜の融合が波状縁で起こる。さらに、この融合過程は、受容体の細胞膜表面への提示にも関与する。この融合の初期段階には、輸送小胞側および細胞膜側に存在するSNARE (soluble NSF-attachment protein (SNAP)-receptor)蛋白同士の結合が必要不可欠と考えられている。平成16年度の研究より、1.骨髄マクロファージの破骨細胞への分化にはSNAP23が必要であること、2.SNAP23はRANKLの下流の細胞周期関連蛋白質の発現を制御していることがわかった。平成16〜平成17年度の科学研究補助金により、さらに破骨細胞分化過程におけるSNAP23の作用点の詳細な解析を進め、以下の知見を得た。 1.破骨細胞分化過程の細分化 破骨細胞の分化過程と細胞周期の関係を詳細に解析した。その結果、(1)前駆細胞はRANKL刺激により細胞周期が進行し、pOCP (post-mitotic osteoclast precursors、増殖後破骨細胞前駆細胞)に分化すること、(2)pOCPはRANKL刺激により細胞周期の停止と共に、破骨細胞へと分化すること、(3)破骨細胞前駆細胞からpOCPへの分化には、p38MAPKとNFATc1が必要であることがわかった。(第23回日本骨代謝学会抄録、p194、演題番号:O-079)以上より、骨髄マクロファージは、細胞周期の進行と停止を境に、pOCPを介して破骨細胞へ分化することが示唆された。 2.破骨細胞の分化過程におけるSNAP23の作用点 破骨細胞分化過程におけるSNAP23の作用点を詳細に解析した。その結果、(1)M-CSFおよびRANKLによるラット骨髄マクロファージから破骨細胞への分化過程をボツリヌス毒素(SNAP23阻害剤)は抑制した。(2)M-CSFおよびRANKLによるラット骨髄マクロファージからpOCPへの分化過程をボツリヌス毒素は抑制しなかった。以上より、SNAP23は、pOCPから成熟破骨細胞への分化に必要であることが示唆された。
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Research Products
(7 results)