2004 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原性細菌の外膜タンパク質の機能解析に関する研究
Project/Area Number |
16791149
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
永野 恵司 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (60367620)
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Keywords | 歯周病 / Porphyromonas gingivalis / 外膜タンパク質 / OmpA |
Research Abstract |
当講座では,歯周病関連細菌Porphyromonas gingivalisの主要外膜蛋白質であり,大腸菌のOmpAと相同性のあるPgm6(41kDa)およびPgm7(40kDa)が,三量体を形成すると報告してきた。本研究では,Pgm6およびPgm7をそれぞれコードするpg0695およびpg0694遺伝子の欠失変異株を作製し,Pgm6/7の三量体構造および生理機能をさらに解析した。 P.gingivalis ATCC 33277株を親株として,pg0695あるいはpg0694遺伝子をPCRを用いたoverlap extension法によりcat(chloramphenicol acetyltransferase)遺伝子に置換した変異株を作製した。さらに,両遺伝子欠失変異株も作製した。各菌株の膜画分を還元剤2-mercaptoethanolの存在あるいは非存在下で加熱変性後,SDS-PAGEを行い,Pgm6/7に対する抗血清を用いてWestern blot解析を行った。また,栄養培地,合成培地および高塩濃度培地での増殖能を検討した。さらに,alkaline phosphatase活性を指標にして外膜の物質透過性を検討した。 還元状態では,40kDaの単一バンドが親株では強く,pg0695およびpg0694欠失変異株では弱く検出された。非還元状態では,親株ではPgm6/7の三量体に相当する120kDaに強いシグナルのバンドが検出されたが,pg0695およびpg0694欠失変異株ではそれぞれ120kDaよりやや小さい,あるいはやや大きいバンドがいずれも弱いシグナルとして検出された。両遺伝子欠失質変異株は,還元および非還元のいずれの場合でもバンドは検出されなかった。変異株の増殖はいずれも,栄養培地では野生株と同程度であったが,合成培地では低下し,食塩添加により塩濃度を上げるとさらに低下した。Alkaline phosphatase活性の検討により,いずれの変異株も外膜の物質透過性は顕著に上昇していた。 親株の三量体に相当する120kDaのバンドがpg0695およびpg0694欠失変異株の三量体に相当するバンドの中間に検出されたことから,Pgm6/7は野生株ではヘテロ三量体を形成していると考えられる。また,これらのC末側にはペプチドグリカン結合モチーフがみられることから,Pgm6/7はペプチドグリカンと結合して外膜の安定化に寄与していることが示唆される。
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Research Products
(1 results)