2004 Fiscal Year Annual Research Report
エナメル質初期う蝕病巣の再石灰化に対する唾液タンパク質の影響
Project/Area Number |
16791151
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
川崎 弘二 大阪歯科大学, 歯学部, 助手 (80309187)
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Keywords | 初期う蝕 / QLF法 / 表層化脱灰 / 光誘導蛍光定量法 / 唾液 / タンパク質 / 予防歯科 / フッ化物 |
Research Abstract |
口腔内の二大疾患の一つであり続けているう蝕において、今後の予防歯科診療を構築するにあたり、特に重要と考えられる再石灰化の促進にかかわるファクターのうち、フッ化物の応用は伝統的に多く検討されてきているが、唾液タンパク質の影響についてはほとんど検討が加えられていないのが現状である。現在、実質欠損に至る、あるいは再石灰化し健全な状態へと回復するまでのエナメル質内のう蝕進行/回復状態を、歯が有する自家蛍光を応用して光学的に定量することが可能なQLF(quantitative light-induced fluorescence)法というシステムが構築され、応用の可能性が模索されてきている。 本研究により、エナメル質における表層下脱灰の程度がQLF法の応用により定量的に測定可能であり、QLF法はエナメル質における脱灰及び再石灰化の観察に有用であることが明らかとなった。さらに、エナメル質における表層下脱灰のボリュームの程度により、どのようなバリエーションで再石灰化が進行するのかを検討した。その結果、表層下脱灰の程度が少ない場合、その回復のスピードが速く、回復のボリュームも大きかったが、表層下脱灰の程度が大きい場合、回復のスピード、ボリュームともに減少するということがわかった。また、従来行われてきた局所的な各種フッ化物応用が再石灰化に与える影響を検索したところ、低濃度のフッ化物応用では高い回復率を示し、高濃度のフッ化物応用では、完全な回復がみられないことがわかった。以上の結果から、今後の研究を遂行する上で基礎となるデータ、すなわち表層下脱灰のプロパティの違いに依存する、エナメル質における動力学的な再石灰化の挙動が明らかとなった。
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