2004 Fiscal Year Annual Research Report
チタンと組織接着性因子とのナノレベルでのリアルタイム相互作用解析
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16791191
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
平田 伊佐雄 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (40346507)
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Keywords | 歯科用材料 / 表面プラズモン共鳴 / surface plasmon resonance / チタン / 生体親和性 / SPR / 吸着量測定 / モデル表面 |
Research Abstract |
本研究では、歯科用チタンにおける表面での生体物質の相互作用をnmオーダーで解析するモデルとして、チタンSPRセンサーの設計・作製を行い、チタン表面と生体分子とのリアルタイムな相互作用の解析を行った。 金属チタンは大気中で容易に酸化される。このため、歯科用チタンSPRセンサーの設計において、表面酸化を考慮してチタンSPRスペクトルのシミュレーション計算を行った結果より、50Åの金属チタンを被覆したSPRセンサーを製作した。また、実際に作製したチタンSPRセンサーのスペクトルを解析することにより、このSPRは,70-80Å近傍の厚さの酸化チタン被膜とその下に10Å近傍の厚さの金属チタン層を有していることがわかった。 新規に作製したチタンSPRセンサーを用いて、チタン表面へのalbumin、γ-globulin、bFGFの吸着量の測定を行ったところ、このSPRセンサーはタンパク質吸着量をng/mm^2のオーダーで精密に測定できることがわかった。また、このセンサーはタンパク質の吸着過程を経時的に測定することが可能であることも明らかとなった。 二酸化チタンを表面に被覆したSPRセンサーは何例か報告があるが、本研究のように大気中で酸化させた金属チタンを表面に有するSPRセンサーの報告は全くない。光学・工学的な分野では二酸化チタンSPRセンサーの方が有利ではある。しかし、医学・歯学の分野では人工歯根・人工骨など大気中で酸化された金属チタン表面での生体分子の相互作用を求める必要性があるため、本研究のチタンSPRセンサーの方が適していると考えられる。本研究で設計・開発・評価を行ったチタンSPRセンサーはnmの領域でのチタン材料の生体適合性の研究に非常に重要な役割を果たすと期待できる。
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