Research Abstract |
外因性HAの骨欠損部に対する効果を遺伝子レベルで検索した.全実験で用いた細胞は骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1),ヒアルロン酸(HA)は分子量6-12x10^5のアルツディスポ^<【○!R】>(生化学工業)である. 1.オリゴマイクロアレイ 細胞をプレート上に播種,または0.3%I型コラーゲンで細胞包埋コラーゲンゲルを作製し,1.0mg/mlHA添加培地で通法どおり培養を行った.培養7日後細胞を溶解し,DNA(Mouse oligo 38.5k array)でハイブリダイズし,蛍光スキャニングを行った.データ解析はGeneSpring7.2で行った. 2.リアルタイムPCR 上記の条件で培養の際,ゲルを一部プレートから浮遊させ,一部は固定した.培養後,ヒアルロン酸合成酵素(HAS1,HAS2)や,レセプター(β_1 integrin,CD44)の遺伝子発現を解析した. 1.の結果から,プレート上の細胞/細胞包埋コラーゲンゲル中の細胞では,HA群とコントロール群のシグナル強度がともにバックグラウンドより明らかに強く,信頼性の高い遺伝子が15,432/9,288得られた.そのうち,2.0倍以上シグナル変動の比が上昇している遺伝子が192/102,下降している遺伝子が697/201得られた. 2.の結果から,プレート上の細胞では,コントロール群に比べ,HA群ではレセプターの遺伝子発現は,有意な差は認められなかった.それに対し,プレートに固定した細胞包埋コラーゲンゲル中の細胞では,コントロール群に比べ,HA群では有意に上昇がみられた(p<0.05).HAS1,HAS2の遺伝子発現はいずれの条件においても,有意な差は認められなかった. 以上の結果より,骨芽細胞は細胞内張力の生成でも遺伝子発現は変化するが,HA存在下ではさらに顕著に変化したことから,HAがレセプターを介する伝達系に影響を与えていることが示唆された.
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