2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16791231
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
泉 直也 新潟大学, 医歯学総合病院, 助手 (10361908)
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Keywords | 歯の移植 / 凍結保存 / 歯周組織の再生 |
Research Abstract |
私達は1997年より移植を前提とした歯の凍結保存の臨床応用を行い、良好な結果を得ているが、凍結保存歯はプログラムフリーザによる緩速凍結後に超低温ディープフリーザ(-152℃)に保存するため、操作が煩雑であり特別な施設を必要なことから汎用性に問題がある。歯の凍結保存がより簡便になれば凍結保存歯移植の適応拡大につながると思われる。そこで今回私達は、凍結操作や保存温度が凍結保存歯の歯周組織再生に及ぼす影響を明らかにする目的で、ラット臼歯を抜歯後、これを腹部皮下に即時に移植する群と凍結操作や保存温度を変えて4週間凍結保存して、解凍後に移植する群を作成し、組織学的に比較検討した。-80℃で凍結保存した移植歯は、即時移植歯と比較して、移植後1、2週は歯根表面の無細胞セメント質の若干の粗造化やセメント芽細胞数が少ない傾向が認められたが、4週になると即時移植歯と同様に均一な無細胞セメント質とセメント芽細胞が観察された。また、即時移植歯と同様に移植2週目より歯槽骨の形成が認められ、4週目には、一定の厚さの歯根膜を介して大量の歯槽骨が形成された。なお、プログラムフリーザで緩速凍結をした場合の方が、より即時移植歯に近い再生過程を示した。-20℃で凍結保存した移植歯は、プログラムフリーザによる緩速凍結併用の有無に関わらず、移植後4週経過後も無細胞セメント質の粗造化やセメント芽細胞数が少ない傾向が続き、歯槽骨の形成が認められなかった。以上の結果より、-80℃で保存すれば歯周組織を再生させることが可能であり、プログラムフリーザによる緩速凍結を併用すればより有効であることが明らかになった。また、プログラムフリーザによる緩速凍結の併用の有無によらず、保存温度が-20℃では有効に歯周組織を再生させることは出来ないことが示唆された。この結果は、第50日本口腔外科学会総会(大阪)で発表した。
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