2005 Fiscal Year Annual Research Report
α波解析による歯科治療恐怖症の迅速的病態診断法確立と治療法応用への試み
Project/Area Number |
16791233
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
田中 裕 新潟大学, 医歯学総合病院, 助手 (50323978)
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Keywords | 歯科心身症 / 歯科治療恐怖症 / 自律神経系活動 / α波解析 / 精神心理学的病態評価 / 迅速的病態診断法 |
Research Abstract |
今回、歯科治療恐怖症の重症度診断、治療法立案や治療効果判定などといった治療への応用の可能性の検討を研究目的として、本研究は脳波のうち特にα波解析を用いた本疾患に対する調査検討を行った。調査方法は、事前に書面および口頭で本研究に対し同意の得られた健常成人ボランティア、および歯科治療恐怖症患者に対して、まず精神心理学的病態の検索として不安、抑うつ、心気傾向、性格傾向などの各種心理テストを施行し、その後(1)仰臥位安静維持、(2)被検者自身が制御可能な方法による疼痛負荷試験、を行った。さらに各検査中は心電図R-R間隔を用いた持続的自律神経系活動解析とα波解析を中心とした脳波解析を行った。その結果、心理テストでは歯科治療恐怖症患者は抑うつや心気傾向といった状態は健常被検者との間に大きな違いはみられなかったものの、全般的な不安傾向が非常に強いことが示唆された。さらに、自律神経系活動解析結果においては、安静時の交感神経系活動が健常被検者に対して高く、疼痛負荷試験によって交感神経系活動の上昇が健常被検者よりも大きい傾向が示唆された。また同時に測定を行った脳波解析結果では、疼痛負荷試験時において歯科治療恐怖症患者と健常被検者の間には明らかな差はみられなかったものの、仰臥位安静維持の状態において健常被検者では安定した高頻度のα波が検出されたのに対し歯科治療恐怖症患者では波形がばらつきα検の検出量も少ない傾向が認められた。しかし、歯科治療恐怖症患者に対して経時的な調査を行ったところ、治療経過とともに心理的不安状態の減少傾向、安静時の交感神経系活動の低下傾向がみられるとともに、脳波においてもα波の検出量の増加傾向がみとめられた。以上の結果より、α波解析は歯科治療恐怖症の重症度判定や治療効果判定など治療への応用に対して有用である可能性が示唆された。
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