2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の標的遺伝子の特定とスクリーニング法に関する研究
Project/Area Number |
16791240
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
柳 文修 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (50284071)
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Keywords | ER901228 / epigenetics / cancer chemotherapy |
Research Abstract |
平成17年度;血管新生阻害効果を予測するスクリーニングテストの確立 FR901228による血管新生関連遺伝子uPA,uPAR,PAI-1に対する影響 口腔内扁平上皮癌細胞株を培養し、FR901228を培地中に添加投与し、血管新生関連遺伝子群について、それらの転写発現変化をRT-PCRにて検討した。結果、血管新生関連遺伝子として知られるuPAおよびそのレセプターをコードするuPAR遺伝子の発現が減少した。 さらに、タンパク合成阻害剤であるcycloheximideをFR901228に併用投与したところ、uPAはヒストン脱アセチル化酵素阻害剤によるヒストンへの間接的な作用に由来する事を示唆できた。一方、CycloheximideによるuPAR発現変化は、細胞により異なり、FR901228によるヒストンへヘの影響は判然としなかった。 また、uPAに対する阻害遺伝子であるPAI-1についても同様の検討を行った。FR901228投与により、PAI-1の転写発現は上昇した。また、cycloheximide併用投与条件においても、PAI-1の転写発現は上昇することより、PAI-1は直接的な作用に由来する事を示唆できた。 また、脱メチル化剤である5-Aza-2'-deoxycytidineを投与し、その前後での各遺伝子発現を比較した。結果、uPA、uPAR、PAI-1遺伝子の発現が上昇した。このことより、各遺伝子がepigeneticな発現制御を受けることも明らかになった。 以上の結果より、これらの遺伝子が、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤による血管新生阻害能の標的である可能性を示唆でき、今後のFR901228の臨床利用に際して有用な知見を得た。
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