2005 Fiscal Year Annual Research Report
ケモカインシステムを標的にした口腔癌のリンパ節転移制御に関する研究
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16791242
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
内田 大亮 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (20335798)
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Keywords | CXCR4 / 口腔扁平上皮癌 / 頸部リンパ節転移 / ベスナリノン |
Research Abstract |
CXCR4を内因性に発現している口腔扁平上皮癌細胞株B88を種々の抗癌剤(5-FU、シスプラチン,ベスナリノン)にて処理後、経時的に全RNAを回収し、逆転写後、定量性PCRを行いCXCR4の発現を検索したところ、ベスナリノンのみが処理後3時間よりCXCR4 mRNAの発現低下を誘導し、48時間後にはその発現を約1/4に低下させた。またFACSによる解析にて蛋白レベルでもCXCR4の発現低下を誘導することが明らかになった。2.7KbpのCXCR4プロモーターにドライブされるルシフェラーゼレポーターベクターを強制発現させたB88細胞において、ベスナリノンはルシフェラーゼ活性を48時間後に約1/3に低下させた。種々の長さのCXCR4プロモーターを用い、CXCR4プロモーター領域におけるベスナリノン反応性領域を検索したところ、転写開始地点の上流300bpから167bpの間にベスナリノン反応性領域が存在することが明らかとなった。また、リガンドStromal cell-derived factor(SDF)-1処理にて誘導されたB88細胞の遊走は、ベスナリノン処理にて有意に抑制された(P<0.001)。さらに、ルシフェラーゼ発現型B88細胞をヌードマウス咬筋内に同所性移植し、ベスナリノンを連日経口投与したところ、ベスナリノン処理群における頸部リンパ節転移巣のルシフェラーゼ活性はコントロール処理群に比較して有意に低下しており、頸部リンパ節転移の抑制が確認された。以上よりベスナリノンはCXCR4阻害剤の一面を有しており、CXCR4を発現している口腔扁平上皮癌の頸部リンパ節転移抑制療法剤として使用しうる可能性が示唆された。
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