2005 Fiscal Year Annual Research Report
薬物徐放特性を利用した高機能性アパタイトセメントの骨形成促進効果
Project/Area Number |
16791243
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
武知 正晃 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (00304535)
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Keywords | アパタイトセメント / b-FGF / 骨芽細胞 / 骨伝導性 / 徐放特性 / 組織親和性 |
Research Abstract |
非崩壊型アパタイトセメントがスケルトンタイプの薬物徐放担体として有用であることから、同セメントに骨芽細胞の増殖促進作用を示すサイトカインを添加することでサイトカインが長時間、持続的に徐放され、同セメントの骨伝導・骨形成を促進できると考えられる。本研究では、サイトカイン徐放型アパタイトセメントを設計し、その徐放特性を検討し、より高機能性のアパタイトセメントを開発することを目的とした。 まず、添加するサイトカインとしてb-FGFを選択した。b-FGFが失活しないpH環境にアパタイトセメントを制御するため、セメントの粉末成分および練和液の調整を行い、サイトカインが失活しないセメントが作製できた。続いて、試作アパタイトセメントの物性(硬化時間、機械的強度、組成分析)の検討を行った。その結果、b-FGFをセメントに添加することで、物性についてはほとんど影響なく、また、b-FGFがアパタイトへの変換に対して影響しないことが分かった。次に試作アパタイトセメントからのb-FGFの徐放特性について検討した。その結果、初期で多くの徐放量がみられ、その後徐々に低下したが長期間持続的に徐放された。また、培養骨芽細胞を用いた徐放されるb-FGFの活性評価について実験を行った。その結果、b-FGF添加アパタイトセメントは、b-FGFを添加していないアパタイトセメントと比較して、骨芽細胞がより多く増殖しコラーゲン合成能、ALP活性も高く、さらにオステオカルシンの発現量も高かった。最後に、ラットを用いた組織親和性および骨伝導性についての検討を行い、b-FGF添加アパタイトセメントは、コントロールと比較して、埋入4Wで、明らかに新生骨量が多く、骨伝導性に優れていた。また、生体親和性も良好であり、今後、臨床において非常に有用な材料となる可能性が示唆された。
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