2004 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌に対する転写因子NF‐κBを分子標的としたプロテアゾーム阻害剤療法の開発
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16791245
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
玉谷 哲也 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (30274236)
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Keywords | NF-κB / 口腔癌 / 分子標的 / プロテアゾーム阻害剤 |
Research Abstract |
口腔扁平上皮癌に対するNF-κB活性を分子標的としたプロテアゾーム阻害剤治療の開発のために以下の解析を行った。口腔扁平上皮癌細胞であるBHY、B88、HNt細胞に放射線照射(RT)(7.5、15、30 Gy)を行うことにより、Luciferase assayでNF-κB活性は誘導され、Electrophoretic mobility shift assay (EMSA)によりNF-κB結合能は増強した。また、癌細胞をRT後、経時的(0、5、15,30,45,60,120分)に蛋白を抽出し、IκBα蛋白、リン酸化IκBα蛋白及びリン酸化p65蛋白の発現をWestern blottingで検索した結果、経時的にIκBα蛋白は分解され、リン酸化IκBα蛋白とリン酸化p65蛋白の発現は増強された。RT後48時間で細胞の培養上清を回収し、NF-κBの下流の遺伝子であるIL-6、IL-8蛋白の発現をELISA法で測定した結果、有意にこれらのサイトカインの発現は増強された。プロテアゾーム阻害剤が癌細胞の細胞増殖能に及ぼす影響をMTT assayで検索した結果、すべての細胞において、1〜10nMの濃度で癌細胞の増殖抑制効果を示した。更に、放射線で誘導される生存シグナルであるNF-κB活性をプロテアゾーム阻害剤の前処理にて抑制することにより、放射線による癌細胞の増殖抑制効果に相乗或いは相加作用を示した。以上の結果より、in vivoにおいてプロテアゾーム阻害剤と放射線照射を併用することにより、より高い治療効果が得られる可能性が示唆された。
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