2004 Fiscal Year Annual Research Report
新しい動物モデルを用いての咀嚼運動の中枢性・末梢性制御機構解明
Project/Area Number |
16791249
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
岡安 一郎 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (80346923)
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Keywords | マウス / 動物モデル / 下顎運動 / 筋活動 |
Research Abstract |
われわれはこれまで,マウスの顎運動を三次元的に記録,解析する測定システムを開発し,マウスによる咀嚼運動のモデルを確立した.遺伝子改変マウスの中には,閉口筋の筋紡錘や歯根膜機械受容器の数が,健常マウスに比べて著しく少ないBDNF遺伝子欠損マウスといわれるミュータントマウスが存在する.われわれは,BDNF遺伝子欠損マウスの咀嚼時における顎運動パタン,咀嚼筋活動,咀嚼リズムを健常マウスのそれと相対比較することにより,口腔感覚が咀嚼運動のパタンおよび咀嚼力の調節に果たす役割を明らかにすることを目的に実験を行った. その結果,1)咀嚼ストローク数は健常マウスに比べ大きく減少した.2)咀嚼サイクルごとの顎運動は,健常マウスに比べ不規則なパタンを示した.3)咬筋活動量は健常マウスに比べて有意に小さかった.4)全周期時間は,個体間で有意差は認められなかった.これらの結果は,咀嚼中枢に伝えられた口腔感覚情報は,脳幹に存在する独立した二つのパタン発生器(リズム発生器と筋収縮パタン発生器)の中でも,特に筋収縮パタン発生器を強く修飾して,筋活動およびその発現形である顎運動を制御する.との仮説を支持するものである. 本研究は,口腔感覚受容器の破壊,侵襲を行うことなく,非侵襲的に,咀嚼運動の末梢性制御機構を明らかにしたこと.もう1つは,従来,細胞内記録での実験により提唱されてきた咀嚼運動の一定理を,実際の咀嚼運動の現象に即して証明したという点で新しいものである.
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Research Products
(1 results)