2006 Fiscal Year Annual Research Report
脳磁場計測による大脳皮質味覚野の特定と味覚障害に対する他覚的客観的評価法の確立
Project/Area Number |
16791260
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
武田 栄三 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (20322472)
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Keywords | 味覚 / 脳磁場計測 / MEG / 味覚障害 / 口腔癌 |
Research Abstract |
いまだに充分な解明なされていない大脳皮質味覚野を健常者において特定すること、また長期的には短期のデータをもとに、口腔癌切除後に生ずる味覚障害や高齢者の味覚異常を脳磁場計測により他覚的、客観的に評価する方法を確立し、味覚障害に対する中枢制御機構を解明することを目的として本研究を立案した。最終的に味覚障害を減ずる外科的手術法や切除部に対する再建法の考案、また味覚異常を最小とするエピテーゼ、プロテーゼの形態や素材開発、さらに味覚異常に対する新しい有効な治療法へとつなげていきたいと考えている。 今年度は最終年度となるため、前年に引き続いて、以下について研究を行った。 1.味覚刺激装置の改良: 現在の味覚刺激装置がつねに良好なconditionで使用できるよう改良を加えた。 2.味質刺激による健康成人MEG計測-味溶液温度の違いによる潜時、応答部位の違いについて-: 上記の刺激装置を用い、味覚情報を提示後、いつ、大脳皮質のどの部位で処理されるかについて解析した。この実験により大脳皮質の味覚野が特定され、そのlaterality(同側優位性か、対側優位に投射されるのか)について検索した。今年度は6人の被験者に対して、1MNaClおよび洗浄液の水温を13.0℃に設定して、室温(20.0℃)との比較を行い、味溶液の温度による潜時の違いを脳磁場計測で測定した。温度が低くなっても潜時や大脳皮質応答部位には影響しない傾向であったが、データの採取が困難であり、結果を証明するのには至らなかった。原因は味溶液に対する閾値の低下によると思われた。 今回の研究では味覚刺激装置の改良に時間を要した。味溶液による刺激の提示とトリガー入力のタイミング、味溶液に対する順応への工夫(効率的な計測データの加算)、温度調節の方法などまだ改善の余地があった。今後は水温を低くした場合、高くした場合に適した味溶液の濃度を見い出し、データの採取の効率化を図るとともに、種類の異なった味溶液を交互に投与するなど順応に対する対応も行ってゆきたい。さらに味覚温度の口腔癌患者、高齢者、味覚異常者のMEG計測についても行い、健常者との比較を行ってゆく予定である。
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