2004 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼運動の制御に関わる三叉神経中脳路核ニューロンの膜興奮性活動調節機構の解明
Project/Area Number |
16791266
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
田中 晋 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (00367541)
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Keywords | 三叉神経 / 顎運動 / 内向き整流性K電流 / 持続性Na電流 / Patch-clamp recording / 細胞内情報伝達機構 |
Research Abstract |
生後2-12日齢(p2-12)のSprague-Dawley系ラット摘出脳幹より厚さ300μmの冠状スライス標本を作製し、赤外線透視条件下で同定した三叉神経中脳路核ニューロンよりwhole-cell patch-clamp recording techniqueを用いて膜電流、膜電位を記録した。記録用細胞外液中に種々のチャネルブロッカーを前投与してvoltage-clamp recording条件下で内向き整流性K電流(I_h)、持続性Na電流(I_<NaP>)を誘発させた。I_h,I_<NaP>共にforskolin或いは8-Br-cAMP投与により、ピーク電流値は減少したものの、活動曲線定数、活動時定数への有意な変化はみられなかった。この変化はH7,H89,SQ22,536を前投与した条件下では抑制された。さらにBAPTA-AM投与にて細胞内Ca^<2+>濃度を減少させた際にも両電流のピーク値は抑制された。以上のことからI_h,I_<NaP>チャネル活性調節にcAMP-PKA pathwayおよび細胞内Ca^<2+>が関与していることが明らかとなった。さらにcurrent-clamp recording条件下においてforskolin,8-Br-cAMPはいずれも活動電位、反復発射活動誘発時におけるスパイク最大振幅には変化を認めなかったものの、スパイク持続時間の延長傾向、スパイク発射持続時間の短縮傾向がみられた。さらに周波数-インピーダンス曲線においてforskolin,8-Br-cAMPは応答特性(Q-value, peak frequency)をそれぞれ減少させた。以上の結果からcAMP-PKA pathwayはI_h,I_<NaP>チャネル活性を抑制性に修飾することにより、中脳路核ニューロンの膜興奮性を調節していることが示唆された。
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