2005 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部扁平上皮癌のシクロオキシゲナーゼー2発現における一酸化窒素の関与について
Project/Area Number |
16791274
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
高岡 一樹 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (60373122)
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Keywords | 頭頸部扁平上皮癌 / シクロオキシゲナーゼ-2 / 一酸化窒素 / 浸潤 |
Research Abstract |
近年、大腸癌をはじめとして消化器癌の発生と進展にシクロオキシゲナーゼ(COX)-2が関与していることが示唆されている.当教室ではこれまで口腔癌の発生と進展、浸潤・転移、抗癌剤に対する耐性と本酵素の関連を検討し,報告してきた. 一方,ヒト前癌病変や癌組織・細胞で一酸化窒素(NO)合成酵素(NOS),特に誘導型NOS(iNOS)が発現している例が数多く報告されている.一般にNOSがより強く発現しているほど癌の悪性度は高いことが知られている.また、NOは細胞間のコミュニケーションの切断やアポトーシスの阻害に関与し,血管の拡張,透過性,血管新生を促進し,癌細胞への栄養,酸素の供給を容易にする働きをもつ. そこで,われわれは頭頸部癌におけるCOX-2の発現にiNOSが関与しているのではないかと考え、COX-2とiNOSの発現について検討した. 口腔癌細胞KBにCOX-2遺伝子を導入した(KB/COX-2),ベクターのみ導入した対照(KB/neo)と比較検討した.in vitroにおいては,COX-2の発現量とPGE_2産生量は正の相関を示し,KB/COX-2は細胞運動能,浸潤能が増強していた.ヌードマウスへの移植実験においても,KB/COX-2はKB/neoと比較して浸潤能が増強していた.Celecoxib(COX-2 inhibitor),L-NAME,1400W(NOS inhibitor)に、よりPGE_2産生が抑制された.また,KB/neo, KB/COX-2両者とも1400WによりCOX-2蛋白発現の低下を認めた.さらに,L-NAME,1400WによるKB/neo, KB/COX-2の浸潤能の低下がみられた.実験結果よりCOX-2とiNOSおよびこれから合成されるNOは相互に関連しながら,細胞浸潤に関与していると考えられた.
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