2004 Fiscal Year Annual Research Report
吸啜期の哺育行動に起因するストレス耐性機構の発達に概日リズムが及ぼす影響
Project/Area Number |
16791277
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 渉 北海道大学, 病院, 助手 (60372257)
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Keywords | サーカディアンリズム / 視交叉上核 / 恒常明 / 拘束ストレス |
Research Abstract |
新生児・乳幼児における母親を介した吸啜行動は、中枢神経系の生後発達において重要な要素となる。母子間身体接触の質・量的な差は、視床下部-下垂体-副腎系ストレス応答の発達に影響を及ぼす。本研究では、哺育側である母動物に対する光環境の影響、および被哺育側のストレス応答について実験を行った。 1.恒常明環境下におけるマウス輪回し行動のサーカディアンリズム 通常明暗サイクル下(12・12時間)で飼育するC57/B6系マウスを照度1500Luxの恒常明下で飼育し、回転輪の輪回し行動リズムを計測した。予測されたとおり、恒常暗では24時間より短いフリーラン周期を示すマウスは、恒常明環境下では周期の延長が認められ、2ヵ月間に及ぶ連続記録中には一時的な行動リズムの消失がみられた。これまでにハムスターを用いた研究で、恒常明環境下におけるサーカディアンリズムのリズムスプリッティングが報告されていたが、今回マウスを用いた場合にも一時的な行動リズムのスプリッティングを記録した(未発表)。計測した輪回し行動と哺育行動の相関を明らかにする必要がある。 2.拘束ストレスに対するストレス中枢・室傍核の反応 In vivo微少還流法を用い、拘束ストレス負荷時のラット室傍核におけるNO産生変動を計測した。拘束ストレス負荷によりNO代謝産物は上昇した。この一時的な上昇はNO産生酵素を介した反応であることが示唆され、カテコールアミン性入力よりもグルタミン酸の投射が重要な役割を果たしていることを示した。生後環境におけるストレス反応性の変化を明らかにする必要がある。
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