2004 Fiscal Year Annual Research Report
スタチン投与による歯牙移動時の周囲骨リモデリング促進機構の解析と臨床応用
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16791280
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
台丸谷 隆慶 東北大学, 病院, 助手 (20333825)
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Keywords | シムバスタチン / 矯正治療 / 骨吸収 / 骨形成 / 骨リモデリング / 歯牙移動 / ELISA法 / 骨カップリング因子 |
Research Abstract |
Wisterラット(12W)へ各種濃度のシムバスタチンの皮下投与を行い、上顎第一臼歯の舌側移動を超弾性ワイヤーを用いて12日間行った結果、対照群(PBS)で0.26±0.043mm、10μmol/l群(S10);0.313±0.05mm、50μmol/l群(S50);0.339±0.045mm、100μmol/l群(S100);0.402±0.055mmで濃度依存性に歯牙移動量は増加した。また、5μmの組織切片を作成し、歯の移動時の圧迫側に出現する破骨細胞数を計測したところ、PBS群;2.32±0.96、S10群;2.567±0.57、S50群;3.06±0.80、S100群;4.07±0.90となり、歯牙移動量と同様に濃度依存性に増加していた。一番効果が起こった群においてさらに骨ラベリングを行ったところ、移動歯の牽引側に認められる骨形成量はスタチン投与群では対照群のものに比べ、約1.72倍であった。 以上の結果よりスタチン系薬剤の全身投与により、矯正的歯牙移動において骨吸収および骨形成促進効果(骨リモデリング促進効果)をもたらし、効果的な歯牙移動促進効果が認められたと考えられる。 また、全身に及ぼす影響と局所(歯槽骨)に及ぼす影響について同時に検索することにした。歯牙移動様相について、対照群(PBS投与)と実験群(スタチン投与)で移動3日目より差が認められ、実験群では6日目から12日目にかけて有為に移動量が増加していた。実験終了時の大腿骨骨密度についてDEXA法にて計測した結果、両群間には有意差は認められなかった。今後、骨質の評価をCMRにて行う予定である。また移動歯周囲の歯槽骨などの局所に及ぼす影響を調べるために、周囲歯槽骨(歯根も含む)を粉砕し、タンパクを抽出し、骨形成因子としてオステオカルシン、BMP-2、吸収因子としてTRAP、PTH、骨カップリング因子としてTGFβ1についてELISA法を行い、血清中についても同様の因子の測定を行う予定である。
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Research Products
(1 results)