2005 Fiscal Year Annual Research Report
吸啜から咀嚼への生後発達におけるCPG回路特性の変化に関する研究
Project/Area Number |
16791299
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
鶴山 賢太郎 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (70343580)
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Keywords | 吸啜 / 咀嚼 / 発達 / 脳幹 / パッチクランプ |
Research Abstract |
ラットの吸畷運動のリズムは脳幹の橋延髄複合体の内側領域に存在する前-前運動ニューロンにより構成されると考えられてきた。本研究では、従来、前-前運動ニューロンと考えられてきた脳幹内側領域の橋核尾側領域(PnC)に焦点を当て、(1)ラットの発育状況と行動観察、(2)蛍光逆行性色素標識による三叉神経中脳路核(MesV)および三叉神経運動路核(Mot V)の観察、(3)PnCニューロンの電気生理学的特性の検討、(4)PnCニューロンの形態学的観察を行った。その結果、 (1)9日齢頃に下顎前歯、11日齢頃に上顎前歯、19日齢頃に上下顎臼歯の萌出が認められた。固形飼料の摂食は18日齢で認められ、19日齢頃に探索反射や口唇反射は消失した。 (2)冠状断において、Mes Vは幅約215μm、長さ約850μmの不定形でニューロンは小型の円形の細胞であり、Mot Vは直径約650μmの円形でニューロンは大型の多角形の細胞であった。Mes V、Mot Vを指標としてPnC位置を決定した。 (3)PnCニューロンの神経生理学的特性は、日齢に伴い発火特性、受容体特性、回路構成が変化することが認められた。 (4)PnCニューロンは日齢に伴い樹状突起が発達し、神経膠細胞は増加する傾向を示した。髄鞘と大型錐体細胞は日齢に伴い明瞭に観察できるようになった。 以上のことから、ラットの脳幹PnCニューロンは吸啜運動のリズム構成に寄与し、日齢に伴い受容体特性や回路構成に変化が生じることが明らかとなった。
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