2004 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸カルシウムセメント隔壁と骨誘導因子を併用した歯周組識再生療法に関する研究
Project/Area Number |
16791317
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
白方 良典 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (60359982)
|
Keywords | 歯周組織再生 / 医用ミニブタ / 外科的歯槽骨欠損 / リン酸カルシウムセメント / 骨誘導因子 |
Research Abstract |
歯周組織再生は歯槽骨再生のみならず、セメント質、歯根膜を含めた組織複合体の再生が求められる。そこで、これらの前駆細胞と考えられている靭帯様組織の歯根膜再生を当初の主眼として、整形外科領域で骨折及び靭帯断裂の治癒促進効果を有する骨誘導因子;リコンビナントGDF-5に着目した。今回、in vivoにおけるGDF-5の歯周組織再生の効果を検討するべく、実験動物としてクラウン系医用ミニブタ(雄3頭)を用い予備実験を行った。全身麻酔・局所麻酔下、両側下顎第2前臼歯近心において、歯周組織再生療法の適応と考え難く、また組織学的評価に適した1壁性骨欠損を外科的に作成した。片側にGDF-5/アテロコラーゲンスポンジ担体(実験群)、対側にアテロコラーゲンスポンジ担体のみ(対照群)の埋植処置を行った。観察期間を通して、両群共際だった炎症所見は認められなかった。12週後、動物の安楽死を行い通方に従い組織標本を作製し、光学顕微鏡下にて組織学的解析を行った。実験側では新生セメント質再生量が大きく、上皮の深行増殖が抑制されている所見が得られた。新生骨形成については両群共に乏しく、歯槽骨頂が水平的に吸収している所見が得られた。これらの所見より一壁性骨欠損においては、骨誘導因子・コラーゲンスポンジ担体複合体では新生骨形成を伴った理想的な歯周組織再生は困難なことが示唆された。そこで注入型リン酸カルシウムセメントを用い、歯周組織再生の条件をさらに整備するためこれを用いた隔壁の必要性が追認された。隔壁作成については実験動物下顎骨欠損モデル上で施術可能であった。以上の予備実験結果をふまえ今後、骨誘導因子、コラーゲン担体、およびリン酸カルシウムセメント隔壁の併用による歯周組織再生の効果を、実験動物としてビーグル犬、および骨誘導因子としてrhBMP-2の応用についての見直しも含め、詳細に検討を行う。
|