2004 Fiscal Year Annual Research Report
抗細菌性タンパクβディフェンシンのケラチノサイト分化に伴う転写因子の同定
Project/Area Number |
16791319
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
西村 学子 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (10337040)
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Keywords | βディフェンシン / ケラチノサイト / 転写因子 / 分化 / 遺伝子導入 / 口腔上皮 |
Research Abstract |
抗細菌性タンパクβディフェンシンは主に上皮細胞に発現し、口腔上皮での細菌感染防御機構に大きく関与している。これまでの研究の中でも口腔上皮性疾患や口腔癌での発現変化を明らかにしてきた。βディフェンシン1は恒常的に発現し、2と3は炎症性刺激によりその発現が誘導され、さらに扁平上皮での発現変化でβディフェンシン1と3は分化に関与していることを示唆するデータも確認してきている。しかしこの発現を調節する転写因子に関する研究としては、βディフェンシン2の炎症性刺激の誘導にNFkBが関与しているとの報告があるにすぎない。そこで、本研究では、ケラチノサイトの分化とβディフェンシン1,3の発現調節に関与する転写因子を明らかにすることを目的とした。実験としては、βディフェンシン1の発現調節を担っているプロモータ領域-3000bpと、-710bpを100bpごとに段階的に削除した遺伝子をPCR法により単離し、それぞれホタルルシフェラーゼベクターに組み込んだ。作製されたVectorは、ケラチノサイト細胞株HaCaT細胞にエレクトロポレーション法により遺伝子導入し、ルシフェラーゼ活性を測定した。その結果、明らかに転写活性が減弱した-110bp,-210bpの領域の転写因子をTranscriptional element search systemにより確認したところAP-4とNF-IL 6が含まれていた。さらにこの領域に変異を組み込んだVectorを作製し同様に転写活性を測定したところ変異遺伝子を含むもので著しい転写活性の減少を認めた。以上のことから、βディフェンシン1のBasal promoter activityにはAP-4とNF-IL6が強く関わっているものと考えられた。
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