2005 Fiscal Year Annual Research Report
生体組織工学に基づく歯周組織再生誘導デバイスの開発と再生現象の基礎的研究
Project/Area Number |
16791322
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
中原 貴 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (10366768)
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Keywords | ティッシュ・エンジニアリング / 歯周組織再生 / 塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF) / コラーゲンスキャホールド / 歯根膜細胞 / サイトカイン療法 / ドラッグ・デリバリーシステム(DDS) / 生体組織工学 |
Research Abstract |
われわれは、歯周組織をターゲットとした再生誘導アプローチを開発している。すなわち、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)の放出をコントロールする徐放化キャリアであるゼラチン粒子と、細胞の足場として機能するコラーゲンスポンジを基盤とした再生誘導デバイスである。将来的に広く臨床で行われるであろうサイトカイン療法において、その治療法の開発と同時に、その再生機序を明らかにすることは、さらなる治療法の開発や副作用の防止に役立つ有用な知見になりうる。 本年度は、前年度より観察期間の経過したものについて標本の採取を行い、ホルマリン固定後、非脱灰標本作製のため、樹脂包埋をおこなった。一部薄切を開始しているものもあるが、来年度にかけて、樹脂包埋の完了した標本をライカ ゼーゲミクロトームを用いて、連続的に薄切をおこなう。薄切した標本は、軟エックス線とContact microradiogram(CMR)によるエックス線学的評価や走査電子顕微鏡(SEM)による微細構造の評価観察をおこなう予定である。 また、硬組織の再生過程を時系列で解析するため骨ラベリング(multiple fluorescent labeling)をおこなった。ビーグル犬に骨ラベリング剤(カルセインやアリザリンレッド)を投与する本実験に先立ち、本手法によりラベリング剤が確実に骨組織に取り込まれて蛍光顕微鏡により観察できるかどうかを確認するため、マウスを用いて本手法の予備実験をおこない、良好な成績が得られた。これらの結果に基づき、現在ラベリング剤をビーグル犬に経時的に投与後、観察期間の経たものから標本を回収し、ラベリング剤の取り込みによる蛍光の観察についても、良好な結果が得られている。来年度は、当該欠損部における蛍光観察の詳細な観察を行い、経時的な再生過程の状態を解析する予定である。
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