2005 Fiscal Year Annual Research Report
ベスタチンの歯周病関連細菌に対する増殖抑制作用の機序についての研究
Project/Area Number |
16791324
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
林 潤一郎 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (30350937)
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Keywords | 成人性歯周炎 / Porphyromonas gingivalis / トランスポゾン / ベスタチン |
Research Abstract |
成人性歯周炎は、Porphyromonas gingivalis(以下P.gingivalis)の関与が強く示唆されており、近年、本菌の増殖を選択的に抑制する物質として、アミノペプチダーゼBの阻害剤であるベスタチンの効果が報告されているが、その作用機序は不明である。本研究の目的は、トランスポゾンによるランダム変異導入法を用いてベスタチン耐性変異株を分離し、トランスポゾンをマーカーとして変異したDNA領域をクローニング、その塩基配列を決定し、その結果をもとにベスタチン作用部位の遺伝子について検討を加えることである。トランスポゾンを持つ大腸菌とP.gingivalis33277株とを混合・接合させトランスポゾンをP.gingivalisへ導入、エリスロマイシン耐性の変異株(トランスコンジュガント)を選択分離した。約20回の接合実験を行い合計約25000株のトランスコンジュガントを得た。得られたトランスコンジュガントを最小発育阻止濃度(MIC)の4〜8倍量のベスタチンを添加した培地で培養し、ベスタチン耐性株の分離を試みた。その結果、1株のベスタチン耐性株(TnB1)が分離された。変異株TnB1のMICは親株の5〜10倍であった。プロテアーゼ活性は若干の低下を示したが有意差は見られなかった。サザンブロット法を用いてトランスポゾンの挿入形式を解析した結果、単一のトランスポジションやコインテグレーションといった典型的な挿入形態はとっていなかった。トランスポゾンの挿入されている部位のDNA断片を大腸菌に一部クローニングした。クローニングした断片について、約3kbの塩基配列を決定し、相同性の検索を行ったところ、相同性の高い配列は見つからなかった。塩基配列の決定されているP.gingivalisW83株とは一致する配列が一部に見られたが、一致しない部分も多く、変異が挿入された部分の機能について塩基配列から検討することはできなかった。現在、親株の同部位に薬剤耐性カセットによる変異を生じさせ、ベスタチン耐性が得られるか検討を行っている。また、トランスポゾンの挿入形式が複雑であるため、他の部位にも変異が生じている可能性について調べている。
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