2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16791330
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
廣冨 敏伸 新潟大学, 医歯学総合病院, 助手 (00345513)
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Keywords | 刺激唾液 / 牽糸性 / 歯周病 / 高齢者 / 疫学 |
Research Abstract |
目的:高齢者における刺激唾液の糸引き度(牽糸性)と歯周病進行との関連を明らかにすることにある。 方法:平成16年度の調査(ベースライン(BL))および1年後のフォローアップ(FU)調査に参加した76歳高齢者332人を対象とした。BL時には歯周組織診査と刺激唾液の牽糸性測定および質問紙調査を行った。歯周組織診査では歯周ポケット深さ(PD)とアタッチメントレベル(AL)を測定した。刺激唾液を採取しその牽糸性(SS)を測定した。質問紙調査にて、喫煙状態と歯科保健に関するデータを収集した。FU時の歯周組織診査はBL時と同様に行った。診査部位各点において、3mm以上のAL増加が認められた場合を歯周病進行と定義し、各個人について歯周病進行の部位割合(Aloss)を算出した。 結果および考察:対象者332人のうち66.3%に歯周病進行が認められた。現在歯数群によりAlossを比較すると、歯数の多い群でAlossが有意に低かった(1-9本群で9.7%、10-19本群で4.0%、20本以上群で2.4%)。SS≦2.00mm群に比べてSS>2.00mm群ではAlossが有意に高かった(それぞれ3.7および6.3mm)。喫煙状態によるAlossは、喫煙者で5.3%、喫煙経験者で5.2%、非喫煙者で3.5%と非喫煙者で低い傾向にあったが、有意差はなかった。また、歯間部清掃の頻度および過去一年間における歯科受診の有無によるAlossの差はなかった。Alossを従属変数として、唾液の牽糸性、現在歯数、BL時の歯周組織状態を独立変数として重回帰分析を行った結果、唾液の牽糸性と歯周病進行には正の関連が有意に認められた。これらの所見から、唾液の牽糸性が高いことは、高齢者において歯周病進行のリスクファクターであることが示唆された。 結論:刺激唾液の牽糸性が高い高齢者は、歯周病進行のリスクが高いと考えられる。
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