2004 Fiscal Year Annual Research Report
機械的刺激に対するラット歯肉組織の細胞周期の変化についての検討
Project/Area Number |
16791333
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
坂本 友紀 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (30325120)
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Keywords | 機械的刺激 / 歯周組織 / 炎症 / 細胞増殖 / 上皮基底細胞 / 線維芽細胞 / 介入試験 / ラット |
Research Abstract |
ラット歯肉に機械的刺激を加える方法について検討した。6週齢のラットの口蓋側歯肉に,1日1回機械的刺激を加えた。機械的刺激には,1秒間に50回の垂直加圧ができる電動歯ブラシを用いた。実験期間は1,3,7,21日間とし経時的な組織変化を観察した。5,10,20秒間の刺激を加える群と,刺激を加えない対照群を比較した。細胞増殖の指標にはProliferating Cell Nuclear Antigen(PCNA)による免疫染色を用いた。 刺激群のセメント-エナメル境(CEJ)から歯肉縁までの距離,歯肉の幅,CEJから歯槽骨頂レベルまでの距離には,対照群との間に著明な差はなかった。また,いずれの組織像にも炎症反応や外傷の所見は認められなかった。 PCNA陽性基底細胞密度は,10秒,20秒刺激群において,1日目に有意に増加し21日目までほぼ同じであった。5秒刺激群は,7日目以降,密度が増加した。しかし,どの刺激群も21日目はほぼ同じ値を示した。基底細胞密度は実験期間を通じ,刺激群も対照群もほぼ同じであった。一方,PCNA陽性線維芽細胞密度は5秒,10秒刺激群で3日目に対照群の約1.5倍となったが,20秒刺激群は実験期間を通じほぼ同じであった。線維芽細胞密度は,刺激群,対照群ともに著明な変化はみられなかった。 上皮細胞は刺激時間が違っても実験期間が長くなると細胞増殖活性がほぼ同じとなるのに対し,線維芽細胞は刺激時間によって細胞増殖活性に差がでることが明らかとなった。上皮細胞と間葉細胞の機械的刺激に対する反応経路の違いを示しているのかもしれない。 さらに,細胞増殖を評価するPCNA以外の指標についての検討を行った。Bromo-deoxy Uridine(BrdU)を屠殺3時間前に腹腔内に投与し,免疫染色を行うと安定した結果が得られた。 以上を踏まえ,平成17年度はBrdUを用いてさらなる検討を加える。
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