2005 Fiscal Year Annual Research Report
妊婦の心理社会的ストレスと早産発生率の関連-神経内分泌免疫学の観点から-
Project/Area Number |
16791379
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
関塚 真美 金沢大学, 医学系研究科, 助手 (60334786)
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Keywords | 妊婦 / ストレス / ストレス反応 / SOC / 流早産 / 神経内分泌免疫学 |
Research Abstract |
[実施内容]昨年度はストレス関連物質の基礎的資料を得ることおよび早産群との比較を行うため,正期産が期待できる妊婦に(1)心理尺度を含む質問紙調査と(2)ストレス関連物質の測定を行った。その結果,正期産群に比較し早産群では副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(以下CRH)がやや低値であった。またCRHが低値であるものはストレス対処能力の指標としたSOCが低い傾向にあった。CRHは胎盤機能を反映するといわれていることから,神経内分泌免疫学的観点からはストレス対処能力が低いことは,妊娠中の様々な心理社会的ストレスに対するストレス反応として胎盤機能の低下を引き起こし,それが早産の関連因子となっているのではないかと示唆された。しかし,妊婦を対象としたストレス対処能力とストレス反応さらに妊娠経過との関連は明らかになっていないため,今後の課題として残された。そこで今年度は妊婦のストレス対処能力と妊娠経過の関連を明らかにするため,妊娠初期から縦断的に調査を行った。 [結果]現時点で,対象者のうち過去に流産歴はないが,今回の経過で流産となった者が数名いた。さらに流産群と正常経過群でストレス対処能力を比較した結果,流産群ではストレス対処能力が低い傾向にあった。さらに流産群では何らかのストレスを認知していた。また流産群の中には,流産症状出現の数週間前より不眠・過敏性といったストレス症状の出現を認めた者がいた。よってストレス対処能力が低いことと妊娠経過に何らかの関連がある可能性が示唆された。 [来年度の課題]最終年度では,今年度の縦断的調査を継続し,ストレス対処能力とストレス反応の関連をさらに追及することで,本研究の主目的である心理社会的ストレスと早産発生率の関連を検討する。さらに早産の予測指標となるストレス関連物質の提示や,生体侵襲のないストレス評価方法提案の可能性についても検討する。
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Research Products
(4 results)