Research Abstract |
稀な先天異常(本研究では発生頻度が10,000分の1以下の疾患)の自然歴,児の身体的・心理的特徴とそれに起因する特殊なケアニーズの構造,出生直後からの両親の心理経過を分析すること,また子どもとその両親のケアニーズを理解し,看護介入の分析を行うために,1)疾患・合併症別の成長・発達段階に沿った医療・看護ケアの分布,2)在宅・外来における具体的な看護介入内容と頻度,その効果について検討してきた. 現在,発生頻度が1,000分の1程度と比較的に高い発生頻度のダウン症と,頻度が10,000分の1以下の稀な染色体異常の2群に分けて対象を選定し,子どもの外来受診時に2群の母親・父親にインタビューし,合併症別の児の身体的・心理的ニーズの特徴,両親の心理経過を分析した. 特に,家族性18p-症候群の自然経過に伴って生じるケアニーズと母親の心理過程を分析した結果,それまでのDrotarの心理過程モデルとは異なった経過を示した.具体的には,母親に精神遅滞は認めず,自ら生計を立て,DQも正常範囲,その他の先天異常児の両親と同じ病状の説明方法であるのに,初期のショックステージから子どもの成長・発達に対して楽観的だった.肉親との死別を10点とした場合,子どもが18p-症候群の染色体異常であることに対し3点のショック程度だった.このことは,一概に先天異常児を持っ両親がDrotarモデルと同じような心理過程を経ないことを示していた.また,色素性失調児やSotos症候群児,ワイルダーバンク症候群児の母親の心理経過を分析すると,第一段階のショックステージから,ショックよりも児の成育に対する不安を強く感じる傾向にあり,初期から児の生命予後,成長が期待できれば近い将来の成長過程に対して不安に思っていた.このことは,稀な先天異常の自然歴をベースに看護介入を準備する必要性を示していた.第3段階の悲しみと怒りのステージ意向は継続調査中である.
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