2004 Fiscal Year Annual Research Report
農村に嫁いだ中国人女性の妊娠・出産体験と家族の内部構造に関する研究
Project/Area Number |
16791398
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
蠣崎 奈津子 岩手県立大学, 看護学部, 助手 (80322337)
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Keywords | 中国人女性 / 妊娠 / 出産 / 国際結婚 / 家族 |
Research Abstract |
1980年代に入り嫁不足対策として農村における国際結婚が社会問題化した。関連する先行研究では外国人女性の妊娠・出産に伴う合併症の発症率等、その身体的な側面に注目した報告が大半を占めており、対象者の背景として農村に嫁いだ外国人女性に注目した研究は非常に数が限られている。しかしそのなかでは日本人家族との関係や日本生活の溶け込み状況など心理・社会的側面へのケアが非常に重要であることが示唆されている。そこで本研究では在日外国人女性のうち、近年、その外国人登録者数が増加傾向にあり、また外見上の日本人と良く似ていることから日本文化の無言の強制が大きいと報告されている中国に国籍を限定し、農村に嫁いだ中国人女性の妊娠・出産体験について主に家族の役割構造に注目し把握する。そして(1)岩手県における農村に嫁いだ中国人女性の妊娠・出産体験について、主に家族の役割構造に注目し、妊娠・出産をめぐる諸問題が、いかにして起こったか相互の要因連関を明らかにし、体験の構造を組み立てる。(2)中国人女性が日本人家族に対して抱く役割期待を構造する際に、本国である中国の妊娠・出産の現状が大きな影響を与えると考えられるため中国における女性の妊娠・出産体験について調査し、日本との類似点及び相違点について明らかにする。(3)農村に嫁いだ中国人女性の妊娠や出産に対する看護の役割について考察するという3点を目的とし研究に取り組むこととした。今年度はその中でも(1)、(2)に関する調査を実施した。(1)に関しては農家に嫁いだ中国人女性のうち、日本で妊娠・出産を経験した者に面接調査を実施した。また(2)に関しては中国重慶市にある重慶第三軍医大学付属西南病院を視察し、中国の病院施設の概要を把握した。来年度はこれら(1)、(2)の調査を継続し、(3)の看護の役割に関する考察につなげていくこととする。
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