2004 Fiscal Year Annual Research Report
注意欠陥多動性障害児の母親の育児ストレス-親子関係と抑うつ度との関連-
Project/Area Number |
16791404
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Research Institution | Ehime Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
真野 祥子 愛媛県立医療技術大学, 看護学科, 助手 (90347625)
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Keywords | 注意欠陥多動性障害 / 育児ストレス / 抑うつ |
Research Abstract |
ADHD児の母親は子どもの問題行動を制止しようと、口うるさく干渉し厳しくしつけようとするが、このような対応の積み重ねが児の二次障害の発症、親子関係の悪化など悪循環に陥ると言われている。しかしそのメカニズムは明らかにされているとは言えない。健常児において行動コントロールの脆弱さ、注意散漫に関する行動は、親子関係の成立に影響を及ぼすと言われていることから、ADHDの場合においても子どもの行動自体が母親のストレッサーとなっていることが考えられる。さらに育児ストレスは母親の精神的健康の悪化を招き、ストレスの高い母親ほど権威主義的な養育態度を示すということも報告されている。 本研究では、ADHD児の行動が母親に関わるストレスを増加させ、それが抑うつ度に影響し、養育態度に悪影響を及ぼすという仮説について検討した。また、子どもの行動特徴に関わるストレスが直接的に母親の抑うつ度に影響するという仮説についても検討した。 その結果、健常児の母親と比較してADHD児の母親の育児ストレス、抑うつ度は高く、否定的な養育態度(不満、非難、厳格、干渉、矛盾、不一致)をとる傾向が有意に多くみられた。そして、ADHDに特徴的な行動(親を喜ばせる行動が少ない、不注意/多動)が、母親の児に対する愛着を減少させ、子どもに対して非難的で厳格な養育態度になるということが示唆された。本研究の結果は、母親の児に対する愛着がうまく形成されないために家族機能が損なわれていることをうかがわせている。良好な親子関係構築のためには、愛着形成が鍵となることが考えられる。 本研究での仮説は実証されず、ADHD児の行動が母親のストレスに影響し、抑うつ度を介すことなく養育態度に影響するというモデルが示された。
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