2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16791422
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鷲見 尚己 北海道大学, 医学部, 助教授 (30372254)
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Keywords | 退院支援 / スクリーニング / 患者アセスメント / 特定機能病院 / 地域連携 / ターミナルケア / 高齢患者 / 悪性腫瘍 |
Research Abstract |
退院支援が必要なハイリスク患者の把握のためのスクリーニング(以下、SC)を中心に、退院支援の実際とそのプロセスについて検討した。<方法>特定機能病院に入院した20歳以上(救急部および精神神経科を除く)の患者に対し、研究者が開発したSC票を用いて入院時にSCを実施し、具体的な退院支援の実際との関連を分析した。<結果>約11ヶ月間の総SC件数は1,559件、そのうちSCスコア10点以上のハイリスク患者は92名(5.9%)であった。ハイリスク患者が多い診療科は、内科、整形外科、眼科であり、医療処置、運動器疾患や高齢に伴うADL低下がスコアに影響している可能性が考えられた。専門スタッフが退院支援を実施した患者のSCスコア平均は9.8±5.7点、疾患別では循環器疾患、神経難病、悪性疾患の順で、また退院先別では転院者(医療、療養型含め)、自宅退院者の順で高くなっていた。入院時点のSCスコアが10点未満であっても、その後に10点以上の状態になり退院支援を受けたケースも多かった。治療経過に伴う身体状態や社会的状況の変化がスコアに影響したと考えられたが、入院時SCの限界である。退院支援の実際では、悪性疾患の場合には、対象者の意向確認とともにターミナルケアを含む医療および看護ニーズに関連した後方支援病院との調整や訪問看護の導入を多く実施していた。これは、特定機能病院に入院する患者の特徴やニーズを反映しており、特にタイムリーな介入を必要とするものであったと考える。<考察>ハイリスク患者の発生率は約6%で先行研究と同様であった。退院支援プロセスの第一段階のSCについては、入院時点のみならず治療経過に伴う患者ニーズの変化を予測しながら再査定が必要である。また、治療後にホスピスに移行する場合や悪性疾患の化学療法、侵襲の大きい外科的治療等の疾患や患者ニーズ別の具体的な退院支援パスなど必要性が示唆された。
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