2005 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄県小離島の妊娠・出産・育児期における支援の現状と課題
Project/Area Number |
16791440
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
船附 美奈子 琉球大学, 医学部, 助手 (60347143)
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Keywords | 離島 / 妊娠 / 出産 / 育児 / 支援 |
Research Abstract |
本研究では沖縄県小離島における妊娠・出産・育児期の現状を明らかにすることを目的としており、調査対象とした離島町村14ヵ所のうち、協力の得られた12ヵ所で平成16年8月〜平成17年8月に調査を実施した。対象者は乳幼児健診等に来た母親で、妊娠・出産・育児期の状況、離島で子育てする利点・不利な点、専門家や行政に対する要望等を自記式質問紙により調査した。 分析対象者は有効回答の得られた480人(81.8%)であり、平均年齢は31.5歳、有職者は183(38.1%)であった。出身地は県外171(35.6%)、県内297(61.9%)であったが、各離島町村でその割合が違っていた。妊娠中の定期健診の場所は島外医療機関が284(59.2%)で、出産場所は島外医療機関が459(95.6%)であった。出産場所の選択理由は、医療設備面260(54.2%)、実家がある212(44.2%)、支援者がいる198(41.3%)の順となっていた。現在の育児環境については、子どもの昼間の養育者は対象者本入が312(65.0%)、保育所が141(29.4%)であった。身近に相談できる人がいる者は431(89.8%)、夫の家事・育児協力がある者は384(80.0%)、夫以外の育児協力者がいる者は240(50.0%)であった。 本調査より以下の現状や課題が考えられる。(1)県外出身者の多い離島町村は観光産業が盛んであり、これらの町村では今後も他県からの若い世代の転入者が増加していくと思われる。(2)医療機関のある本島への移動や里帰りの時に、宿泊施設や交通費の経済的負担が大きくなっているため、特に夫婦ともに県外出身者への支援など課題である。(3)出産前後に島を離れた期間が非常に長いケースもあり、父親が育児にほとんど参加できない状況は、父子関係を築くという点からも考慮すべき問題である。(4)育児相談者は9割の者がいる反面、夫以外の育児協力者がいる者は5割と少なく、離島では活用できる制度や支援も少ないため、母親への負担が大きくなると考える。 今後は、一つ一つの事例をより詳細にし、各町村の課題を検討していくことが必要である。
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