2007 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児の子を持つ親の養育肯定感に関する縦断的研究-養育肯定感尺度開発を含めて-
Project/Area Number |
16791447
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
都筑 千景 Osaka City University, 医学部, 准教授 (00364034)
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Keywords | 母子保健 / 子育て支援 / 尺度開発 / 肯定感情 |
Research Abstract |
前年度作成した暫定版養育肯定感尺度の信頼性・妥当性を検討する目的で,就学前までの子どもを養育している親を対象として質問紙調査を行なった。質問項目は,養育肯定感情に関連する項目35項目(5段階リッカートスケール),妥当性確認のための自尊感情尺度(Rosenberg1965),GHQ(Goldberg1972)短縮版(12項目)等である。質問紙調査に当たっては所属機関の倫理審査を経て実施した。質問紙は乳幼児健診,育児教室,育児サークルなどを通じて1107名に配布し488名より回収され,無効回答を除外した472名について分析した。分析は,項目分析により3項目を削除した32項目に対して最尤法による因子分析(プロマックス回転)を行なった。十分な因子負荷量を示さなかった項目を除外し繰り返し因子分析を行なった結果,4因子構造15項目を得た。4因子は「親肯定」,「自己成長」,「人間関係の広がり」,「家族関係の強化」と命名した。なお,回転前の4因子15項目における累積因子寄与率は67.5%,15項目全体のクロンバックのα係数は.862,各下位尺度におけるα係数は.748〜.948であった。また,各下位尺度間相関はいずれも有意な正の相関を示していた。自尊感情尺度との相関は.444,GHQ-12との相関は.446であり,いずれも有意水準1%で有意な相関が見られた。以上の結果から,作成された養育肯定感尺度は一定の信頼性と妥当性を持つ尺度であると考えられた。今後は異なる対象者への調査の実施を含めて,より精度の高い尺度開発を行なっていくとともに,養育肯定感情を促進するまたは阻害する要因について検討していく予定である。
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