2004 Fiscal Year Annual Research Report
精神障害者の行動制限と人権擁護に関する研究-身体的拘束に関する看護判断に影響を及ぼす要因-
Project/Area Number |
16791452
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
柴田 真紀 北里大学, 看護学部, 講師 (10286370)
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Keywords | 精神科看護 / 身体的拘束 / 行動制限 / 人権擁護 |
Research Abstract |
本研究では、身体的拘束に関する看護判断に影響を及ぼす要因を明確にすることを目的としている。本年度は、次年度以降のフィールド調査に向けた調査方法の検討を目的として、文献検討および研究者自身が収集した既存のデータを「身体的拘束に関する看護判断」という視点から再検討した。 大学病院の精神科と一般科において身体的拘束を行う看護師の葛藤について、半構成的インタビューにより調査したデータを分析したところ、精神科において身体的拘束を行う看護師の葛藤は、精神保健福祉法、疾患の特徴、病棟文化、看護師の経験年数と関連があることが明らかとなった。また、葛藤の内容は、身体的拘束開始時、継続時、解除時により異なっていた。しかし、いずれも葛藤は患者の安楽、安全あるいは人権が焦点となっており、その葛藤への対処行動によって看護判断に影響が生じることが考察された。 一方、臨床では、平成16年4月の診療報酬改定に伴い「行動制限最小化委員会」の設置や「行動制限最小化基本指針」の整備が進められており、精神科における身体的拘束に関する状況は変化している。これらが臨床においてどのように生かされているのか、看護にどのような影響をもたらしているのかということも、本研究に関わる問題である。 今後のフィールド調査にあたり、臨床状況に関する調査、身体的拘束時の看護場面の参加観察、看護師の経験年数による違いを考慮に入れていく必要があると考えている。
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