2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16F16036
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 俊法 京都大学, 理学研究科, 教授 (10192618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WEST CHRISTOPHER 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-07-27 – 2018-03-31
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Keywords | 化学 / 光電子分光 / 超高速分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
チタンサファイア再生増幅器 (35 fs, 800 nm, 1 kHz) とKrガスを非線形光学媒質に用いたレーザー高次高調波光源を構築し、極端紫外光レーザーを用いた液体試料の時間分解光電子分光を実施した。この液体の超高速光電子分光は、核酸(DNAやRNA)を構成する塩基成分(核酸塩基)が水溶液中で電子緩和する速度や経路を解明したり,核酸塩基から水への電子移動による水和電子生成の有無を検証するのに有力な手法である。しかし、観測されうる溶質の励起状態や水和電子からの光電子信号は非常に微弱であり,平成28年度の研究において導入した多層膜ミラーを用いて単一次数高調波を分離する方法では、同軸方向に生じる数%程度の隣接次数高調波からの寄与が微弱な光電子信号の観測を困難にしていた。その問題を解決するために、平成29年度は、回折格子を用いた高次高調波分光装置を構築し、隣接次数高調波の完全分離を図り、また、高次高調波の次数も選択できる実験装置を立ち上げた。その波長分離性と汎用性に優れた回折格子分光器を導入した時間分解光電子分光装置を用いて、水溶液中のアニリンを紫外光励起し、29.5 eVの極端紫外光で追跡する実験を実施した。実験の性質上、現状では、励起光と検出光それぞれによって生成される光電子間の相互作用(空間電荷効果)に起因する光電子スペクトルのエネルギーシフトが避けられなかった。しかし、その空間電荷効果を考慮した平均場モデルを適用することにより適切にスペクトルを補正後、光電子信号の時間変化を抽出することで、基本的な芳香族化合物であるアニリンの水溶液中での励起状態ダイナミクスや溶媒和ダイナミクスに関する知見を得ることに成功した。今後,核酸塩基等の試料への展開が期待され、その点で、本研究で確立した極端紫外光を用いた液体の超高速光電子分光の実験手法は,非常に重要な研究成果であった。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)