2017 Fiscal Year Annual Research Report
物理刺激に応答してゲスト分子放出を制御可能な多重機能型多孔性金属錯体の創製
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16F16037
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北川 進 京都大学, 高等研究院, 特別教授 (20140303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CRAIG GAVIN 京都大学, 高等研究院, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-10-07 – 2019-03-31
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Keywords | 多孔性金属錯体 / 金属錯体多面体 / 構造変化 / 脱着 |
Outline of Annual Research Achievements |
多孔性金属錯体(PCP/MOF)は、その本質的に内包するナノサイズの空間によりガス吸蔵・ガス分離への応用が期待されている新しい多孔性材料である。PCP/MOFを含めて多孔体の研究は、これまで「細孔に入ってくる」分子の制御により、吸着、分離、触媒、センサーといった機能を達成してきた。しかしながら、その逆の現象である「細孔から出ていく」分子の制御に関してはあまり注力されておらず、実際に新しい機能かつ、ドラッグデリバリー、分離などに直結するはずの、脱着制御に関しては一般的な制御手法すら確立されていない。本研究では、外場(磁場、光、圧力、温度などの物理刺激)に応答して構造変化を起こすスイッチング機能をもつ金属錯体を構築素子としてPCP/MOFを構築し、内部空間に閉じ込めたゲスト分子を外場により自在に放出するシステムを構築する。 本研究では特に、すでに内部空間を有する金属錯体多面体(MOP)を基本骨格とし、MOPを様々な条件で集積させることで新しい 配位高分子を得ることを目的としている。その際には、結晶相に限らず非晶質相が合成され、その構造内部自由度を制御した新 しい空間材料を創製するととみに、特に温度や圧力によって構造変化を起こす材料系の構築を目指している。 これまでに、ロジウム、銅、パラジウム、亜鉛、ニッケルを中心金属とした新規MOPの合成に成功し、特にロジウムを中心金属 とするMOPを、イミダゾール系配位子と連結することで新規の非晶質性配位高分子を合成することに成功した。特に、これまでの固い結晶相ではなく、溶媒を含んだゲル状材料として合成できることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ロジウムを中心金属とする金属錯体多面体(MOP)を構築素子とし、連結配位子を用いることで、新しい非晶質(ゲル状)の多孔性配位高分子が合成可能であることを見出した。これはこれまでの結晶相を有するPCP/MOFとは一線を画する新しい材料であり、温度や圧力といった外場により分子放出を達成するための新しい材料プラットフォームとなりうる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、溶媒をふくむゲル状材料という特性を活かし、温度や圧力によりゲル内で分子を吸脱着する新しい系の構築と、その吸脱着過程を外場により制御することを目的に研究を行う。
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