2017 Fiscal Year Annual Research Report

イオン液体を基盤とするフォトン・アップコンバージョン分子システムの開発

Research Project

Project/Area Number	16F16042
Research Institution	Kyushu University
Principal Investigator	君塚信夫九州大学, 工学研究院, 教授 (90186304)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	PANKAJ 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
Project Period (FY)	2016-10-07 – 2019-03-31
Keywords	バイオマテリアル / 光学物性 / フォトン・アップコンバージョン
Outline of Annual Research Achievements	本研究は、タンパク質などのバイオマテリアルを基盤とし、色素分子との複合化によりフォトン・アップコンバージョンを示す生体適合性材料を創出することを目的としている。生体高分子と界面活性剤の複合体マトリックス中に色素分子を高濃度に分散することで空気中においてアップコンバージョンを示すヒドロゲルを合成でき、更にこのヒドロゲルを乾燥したフィルム状態においても評価を行ったところ、興味深いことに空気中において安定な緑色光から青色光へのフォトン・アップコンバージョンを示すことが明らかとなった。このフィルム中におけるフォトン・アップコンバージョン効率を相対法により求めたところ、これまでの最も効率の良い固体フォトン・アップコンバージョンと同程度の高い効率を示すことが分かった。また、色素の種類を変更することにより、近赤外光から可視光へのフォトン・アップコンバージョンも達成し、本手法の一般性を示すことにも成功した。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 1: Research has progressed more than it was originally planned. Reason 前年度に開発したフォトン・アップコンバージョンを示すヒドロゲルに加え、そのヒドロゲルを乾燥することにより得られるフィルムも、空気中において非常に高効率かつ安定なフォトン・アップコンバージョンを示すことが分かった。これらは空気中において不安定な化学種を安定化しうるというバイオマテリアルの新しいポテンシャルを示すものであり、今後のバイオマテリアル開発において重要な知見を与えると考えられる。
Strategy for Future Research Activity	これまでに得られた近赤外光から可視光へのフォトン・アップコンバージョンの効率を更に向上させるため、色素に置換基を修飾するなどして化学構造を変化させ、材料構造の最適化を行っていく。また、様々な色素をヒドロゲルおよびフィルム中に分散させ、酸素耐性を持ったバイオマテリアルとしてコンセプトを一般化することを試みる。