2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16F16043
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
竹内 正之 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー (70264083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JUNG SUNG HO 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 精密超分子重合 / 超分子ポリマー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、ポルフィリン誘導体の合成を完了し、その自己集合能を吸収スペクトル測定や原子間力顕微鏡観察によって評価した。自己集合のための水素結合の数を系統的に変えることによって、自己集合のメカニズムが大きく変わる事がわかった。温度可変スペクトル測定から自己集合プロセスの熱力学パラメータを決定し、エネルギーランドスケープを明らかにする事に成功した。 水素結合部位を4つ持つポルフィリン誘導体は、メチルシクロヘキサン中において強く自己集合し、非常に高い核形成温度(90℃以上)を示した。この核形成温度は、系中にトルエンを添加することによって、段階的に低下させる事ができた。自己集合のコントロールに有用であると期待される。 また、非常に構造が類似したポルフィリン誘導体同士でも、まったく異なる会合形態を与える事を発見した。現在、会合形態を明らかにするために、種々の測定を行っている。 アゾベンゼンの光異性化を利用したリビング超分子重合システムの構築に成功した(J. Am. Chem. Soc. 2016, 138, 14347)。光異性化と核形成―伸張プロセスを組み合わせる事で、光照射の強度や時間をリビング超分子重合ための制御因子として利用する事が可能となった。例えば、弱い光照射によって、ゆっくりと重合を進める事などが可能となる。さらに本系を推し進めれば、時空間的な超分子重合の制御が可能になると期待される。本研究によって、いわゆる『刺激応答性』超分子ポリマーのほとんどの系で、リビング超分子重合を実現できる可能性を示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポルフィリン誘導体を7種類合成した。また、予定通り、これらの自己集合挙動を定量的に評価する事ができた。いくつかのポルフィリンでは、当初予期していなかった興味深い準安定超分子集合体を形成する事が明らかになっている。基礎的な知見が蓄積されたので、平成29年度に大きく研究を展開できると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに合成したポルフィリン誘導体の全てについて、自己集合メカニズムを明らかにし、分子構造と自己集合能の相関を明らかにする。得られた知見をもとに、リビング超分子重合系を構築する。 アゾベンゼンを用いたリビング超分子重合系については、光照射の位置をコントロールすることで時空間的に制御可能なリビング超分子重合系の構築を目指す。
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